研究課題/領域番号 |
18K19671
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
朝倉 隆司 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (00183731)
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研究分担者 |
友川 幸 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (30551733)
竹内 理恵 長崎大学, 熱帯医学研究所, 客員研究員 (00623084)
秋山 剛 長野県看護大学, 看護学部, 准教授 (20579817)
三宅 公洋 信州大学, 教育学部, 研究員 (70794858)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | ラオス / 開発と健康 / 若者 / 質的研究 / エコヘルス / 食物選択動機 / 研究人材育成 |
研究実績の概要 |
後発開発途上国であるラオスの若者が,自国の開発とその影響をどのように認識しているか,インタビューガイドを作成し調査を実施した.まずインタビューを実施するにあたり,ラオス国立大学(NOUL)のエコヘルスチームの教員と内容を協議し.英語からラオス語に翻訳した.さらに面接者となる訓練は,NOULをはじめ調査を実施した3校の教員養成校(TTC)のエコヘルスチームの教員に対して行った.同時に,教員の研究力を向上させるために,これら4校の教育機関で,希望者を募り質的研究を理解するためのセミナー(6時間)を行った.これらを通じて,後発開発途上国の研究人材育成への寄与という目標の一部を達成した。 インタビューの対象者は,ラオス国立大学教育学部の学生12人,ルアンパバーン教員養成校の学生15名,サワナケート教員養成校の学生15名,パクセ教員養成校の学生15名である.本調査では,言語的な問題があるため,事前に自由記述の自記式調査票を配布し,インタビューは学生が記入した内容を確認する方式で実施した.新たな情報がある場合は,それを面接者が書き入れた.ラオス語で書かれた回答を面接者が清書して逐語録を作成し,それをNOULで英語を専門とするメンバーが英語に翻訳を行った.この調査のプロセスは,若者の参加と語りを引き出す試みであり,異文化社会の中で質的研究を行う方法論の開発になっている.現在,質的データを分析中である. また,ラオスの若者における食物選択動機を明らかにするために,食物選択動機調査票(Steptoe et al., 1995)のラオス語版の開発と検討を行った.翻訳の妥当性と内容的妥当性の検討を確認した後,ラオス国立大学の教育学部,サバナケット県の教員養成校で,男女学生合計16名を対象に調査した.その結果,「清潔さ・衛生」等オリジナルに無い下位概念の候補となる回答を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年2月から3月にかけてラオスに渡航する計画であったが,新型コロナウイルスの感染拡大により,調査のための渡航が行えなかった.また,NOUL教育学部の学部長,副学部長の人事交代があり,研究協力に対する協力依頼を再度行う必要があった.さらに,英語への翻訳を依頼したNOULのエコヘルスチームのスタッフに他の業務が集中し,翻訳作業とダブルチェックの作業が遅れたため,その後の分析作業にも遅れが生じている.
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今後の研究の推進方策 |
開発と健康に関するインタビュー調査とデータの翻訳は終了しているので,分析を急ぐ.さらに,研究人材育成のために,質的データの分析方法セミナーを渡航が可能になり次第計画する.食行動に関するインタビュー調査も,渡航が可能になり次第実施できるよう準備を進める.健康生成因子、保護因子の探索に関しては,既存の調査データがあることが分かったので,インタビュー調査の分析と同時に,それらも活用して分析する.感染拡大の状況により,場合によっては,研究期間を1年延長することも検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大により,国外への渡航,ラオスへの入国が制限され,2020年2月,3月に予定していた調査のための渡航が不可能になったため.2020年度に未実施分の調査を実施するために,まとまった期間ラオスに渡航する計画である.さらに,渡航に関する制限がある場合は,1年度延長して,ラオスでの現地調査を行う.
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