研究課題
わが国の認知症患者は現在500万人近くまで増加しているが、その多くを占めるアルツハイマー病は発見後1世紀以上過ぎた今日でも発症機構が未だ不明であり根本的治療法もない。アルツハイマー病は、記憶や認知機能および思考能力が不可逆的に障害される進行性の難治性疾患であるため、患者のみならず家族の生活の質(QOL)を著しく悪化させる。また、アルツハイマー病の治療や介護にかかる社会的負担も増加し、認知症患者の介護のための介護離職も増加しており、大きな社会問題となっている。アルツハイマー病の発症には多くの要因が関係すると考えられているが、高脂血症治療薬であるスタチンが本疾患の発症率を低下させるなど、近年脂質類のアルツハイマー病への関与を示す報告が多数なされている。脂質は、加熱などにより酸化され過酸化脂質を生じ、この過酸化脂質がさらにDNAやタンパク質を酸化することにより生体に酸化ストレスをもたらすことがよく知られている。本年度の実績概要は、酸化ストレスを暴露したサルの組織を用いてプロテオミクス解析を行った。酸化ストレス暴露後のサルの脳組織を用いて、二次元電気泳動およびウエスタンブロット法を併用することで酸化損傷タンパク質を検出した。また、蛍光色素標識二次元ディファレンスゲル電気泳動法によりタンパク質の発現量解析を行った。その結果、特に海馬においては、Heat shock 70kDa protein 1 (Hsp70.1) の酸化損傷度はCA1では顕著に増加したが、DGでの増加はわずかしか認められなかった。他のタンパク質についても、興味深い変動が認められた。
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