研究実績の概要 |
研究結果1 プライマー・PCR反応条件の設計 PCR解析に必要なプライマーについて設計した。ほ乳動物については、一般的にほ乳動物が共通して持つCYCS遺伝子の一部の配列を増幅するプライマーを3種類設計し、候補とした。また、市販のほ乳動物DNA検出用合成DNA (anicon5, anicon3、プロメガ社製)も比較として用いた。国産牛肉1gからDNA抽出・精製を行い精製したDNAを0.01μg/μlとなるように希釈したものを鋳型DNAサンプルとして、Mini Opticon (Bio-rad社製)を用いてリアルタイムPCRを実施し、DNA増幅能力を検証した。その結果、3種類設計したプライマーのうち1種のみがDNA合成ができることを確認した。DNA合成効率は、市販のanicon5, anicon3と同等である事も確認できた。 研究結果2 ウシ肉類への検討 一般の肉類食品から、牛生肉およびビーフジャーキーおよび豚生肉を選択した。それぞれ食品1gに対し、 コバルト60ガンマ線源を用いてガンマ線を10kGyまで照射した。照射済みのサンプルから、DNA抽出・精製を行った。精製したDNAをTE緩衝液で0.01μg/μlとなるように希釈したものを鋳型DNAサンプルとして、てリアルタイムPCRを実施した。 牛肉およびビーフジャーキーともにガンマ線の吸収線量の上昇に伴って、未損傷鋳型DNA割合が低下することが明らかになった。吸収線量と未損傷鋳型DNA割合の傾きは、牛肉およびビーフジャーキーで異なり、牛肉についてはDNAがガンマ線照射によって比較的損傷しない傾向が示された。一方で、豚生肉(日本国産)に対しては、PCR反応の結果が得られなかった。研究結果1でのプライマーについては、ウシ以外では増幅できない可能性がある。普遍的なマルチプライマーの開発は別途行わなければならないと考えられる。
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