研究課題/領域番号 |
18K19681
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
荻野 景規 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (70204104)
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研究分担者 |
古松 毅之 岡山大学, 大学病院, 講師 (20432651)
長岡 憲次郎 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (40752374)
梅田 孝 名城大学, 薬学部, 教授 (50311535)
伊藤 達男 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (80789123)
荻野 学芳 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (70614204)
荻野 志穂奈 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (70746685)
浜田 博喜 岡山理科大学, 理学部, 教授 (10164914)
高柴 正悟 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (50226768)
松田 依果 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 講師 (60368678)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | ミトホルミシス / ミトコンドリア / 末梢血 / mRNA / 抗酸化酵素 / 硫化水素代謝酵素 |
研究実績の概要 |
当初の計画ではヒト骨格筋細胞として筋芽細胞由来ヒト骨格筋培養細胞を用いて低酸素状態で、ミトコンドリアの活性化を検討する予定であったが、末梢血単核球の低酸素による影響も検討する必要があり、ヒト培養単核球であるTHP1を用いて、低酸素状態又は、低酸素から再酸素添加状態で、ミトコンドリアの抗酸化酵素やSIRT3、硫化水素代謝酵素(CARS2、SQR)のmRNAの発現を検討した。結果として、低酸素ではCARS2及びSIRT3のみの発現上昇が見られるのに対し、低酸素後の酸素再添加によりSOD1、SOD2、catalaseの抗酸化酵素群や CARS2、SIRT3、の有意な発現上昇が認められた。すなわち、運動による末梢血単核球細胞の抗酸化酵素上昇発現は、筋肉だけの現象ではなく、運動により末梢血細胞を含む体全体の細胞が、低酸素及び低酸素後の再酸素化でミトコンドリアが活性化され、誘導されことを証明した。このことは、酸素濃度の変化により運動効果を培養レベルで予測できることを示した点で非常に評価出来る研究結果である。 運動トレーニングによる末梢血単核球のミトコンドリア活性化の生活習慣病予防効果に関する縦断研究による検証は、当初の予定を変更し岡山県で最も企業健診受診者の多い健診機関である淳風会で企業健診受診者約400名を対象に、現在実行中である。さらに、平成帝京大学の大学学生(約20名)の協力で、1日30分のランニングによる末梢血(指先)のmRNAの抽出によるミトコンドリア抗酸化酵素の動態を観察するクロスオーバー介入研究が、4月から予定されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
運動効果の健診レベルでの縦断研究や運動効果の介入研究は、倫理申請の許可が容易に出なかったことが原因である。その原因が、採血のリスクが大きいことがあり、急遽指先採血に切り替える必要があり、指先採血でのRNAの回収効率や、real time PCRでの目的mRNAの検出に関する精度確認のための時間が必要であった。さらに、遠隔地で血液採取するために、血液を分離する装置の手配や、輸送方法の練り直しが必要であった。
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今後の研究の推進方策 |
現在、進行中の運動介入研究と運動習慣と健診データとの関連性の縦断研究の結果を解析し、学会発表及び論文投稿する。特に運動トレーニング評価法としての指先採血による血液細胞の抗酸化酵素群mRNA検査の有効性を確認し、特許申請を検討している。さらに、大阪の運動トレーニングジムと共同研究の計画をしており、指先採血でmRNAを抽出し、中高年者を対象として、運動トレーニングと血液細胞の抗酸化酵素群、硫化水素代謝酵素群、SIRT3等のmRNAの上昇の関連性を検討し、最適運動期間、最適運動期間の検討を行う。マウストレッドミルで、運動負荷及び低酸素曝露のミトホルミシス現象を筋肉及び末梢血で検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
主な研究内容が、末梢血単核球のミトコンドリアmRNAに関する運動介入研究と健診血液による縦断研究であるので、倫理申請が少し遅れ、研究実施が研究年度をまたがることになった。
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