研究課題/領域番号 |
18K19685
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
大西 眞由美 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (60315687)
|
研究分担者 |
川崎 涼子 大分県立看護科学大学, 看護学部, 准教授 (30437826)
中根 秀之 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (90274795)
|
研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
|
キーワード | 薬物依存 / 受刑者 |
研究実績の概要 |
薬物事犯による受刑者15人(男性)に、主観的健康感、精神健康度(K6)、薬物使用に至った経緯、逮捕歴・受刑歴、これまでに受けた保健・福祉サービスに関するインタビュー調査を実施した。インタビュー対象者は、1)薬物事犯で累犯者、2)インタビューに対応可能な認知能力がある者といった条件を満たす者を、A刑務所より抽出していただき、調査協力に係る本人の同意を得た上で調査を実施した。 K6 scoreの平均は3.7(標準偏差:2.7)、中央値は4.0(range:0-8)であった。別研究プロジェクトで実施した薬物依存症リハビリテーション施設であるDARCメンバーで受刑経験がある者14人に対して実施したインタビュー調査によって得られたK6 score(平均:7.8,標準偏差:4.3; 中央値:8.5,range:1-14)と比較し、統計的有意な差が認められた(マンホイットニーU検定,P=0.007)。 一方、主観的健康感については、受刑者15人中13人が「とても健康/まあまあ健康」と回答した。DARCメンバー13人中10人が「とても健康/まあまあ健康」と回答したが、統計的有意な違いは認められなかった(フィッシャーの正確確率検定,P=0.639)。 尚、受刑者(ρ = 0.148,P=0.599)もDARCメンバー(ρ = -0.109,P=0.736)もK6と主観的健康感には、統計的有意な相関は認められなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
A刑務所と研究協力に係る契約書を交わし、インタビュー調査が実施できるようになるまでに時間を要したが、男性受刑者へのインタビュー調査は当初予定通り実施できた。ただし、調査結果の詳細分析については、今後引き続き深めていく必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
B刑務所から研究協力の同意を得た上で、薬物事犯による女性受刑者に対するインタビュー調査を実施する。男性受刑者へのインタビュー結果と合わせて、詳細な内容分析を行う。 全国の刑務所中、協力が得られた刑務所に対し、薬物事犯による受刑者らの出所後の地域生活定着支援に関し、成功事例および対応困難事例の経験について半構成的インタビュー調査を実施するための準備を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は、当初予定よりも旅費および人件費・謝金の支出を少なく抑えることができた。2019年度は、全国刑務所訪問のための旅費が必要となるため、2018年度の未使用分を2019年度に繰り越すこととした。
|