研究課題/領域番号 |
18K19685
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
大西 眞由美 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (60315687)
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研究分担者 |
川崎 涼子 大分県立看護科学大学, 看護学部, 准教授 (30437826)
中根 秀之 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (90274795) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 薬物依存 / 累犯者 / 受刑者 |
研究実績の概要 |
男子刑務所1か所(2018年度実績)、女子刑務所1か所の協力を得て、薬物事犯による累犯者(男性15人、女性15人)に対して、一人当たり約1時間の半構成的インタビューを実施した。インタビュー内容として、主観的健康観(4件法)およびK6を含めた。インタビュー実施にあたっては、刑務所側から提示された要件に従い、刑務所およびインタビュー対象者の同意を得た上で行った。 K6の結果(中央値,range)は、男性4(0-8)、女性6(1-17)であり、統計的有意差は認められないものの(マンホイットニーのU検定,P=0.074)で、女性の方が健康度が低い傾向にあった。またK6のカットオフポイントを10未満/以上で分類した場合、10以上の男性は0人であったが、女性は6人であり、統計的有意に女性の方が精神的健康度が低かった(フィッシャーの正確確率検定,P=0.017)。ただし、主観的健康観については、男女で有意な違いは認められなかった(コクランアーミテージ検定,P=0.787)。 K6と主観的健康観の関連を検討したところ、男性ではrs=0.148(スピアマンの順位相関係数,P=0.599)、女性ではrs=-0.499(スピアマンの順位相関係数,P=0.058)であり、女性において統計的有意ではないものの逆相関が認められた。 インタビューに応じた受刑者らからは、「話せてよかった」「自分が話すことが誰かの役に立つのであれば嬉しい」といった発言が聞かれ、語ることをポジティブな経験として受け止めていた。 また、刑務所側からのインタビュー対象者に関する情報(逮捕・受刑経験、累犯回数、薬物離脱プログラムへの参加状況等)と、インタビュー内容(本人の語り)に解離は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた女子刑務所でのインタビューを実施することができ、分析において男女間の異同を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、インタビュー内容の質的データを合わせて、更に男女間の異同とその背景について分析を進めていく予定である。また、分析結果を基に、刑事施設および地域の薬物依存症者に対する社会資源に対する提言を提示していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度末に実施予定であった研究者間のミーティングを、COVID-19感染拡大に伴い、延期したことから、その経費を2020年度に繰り越した。
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