研究課題/領域番号 |
18K19685
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
大西 眞由美 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (60315687)
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研究分担者 |
川崎 涼子 大分県立看護科学大学, 看護学部, 准教授 (30437826)
中根 秀之 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (90274795) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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キーワード | 薬物依存 / 累犯者 / 受刑者 |
研究実績の概要 |
覚せい剤事犯による受刑者の80%以上に薬物依存の疑いがあり、刑事施設への入所回数・累犯回数が多いほど薬物依存の重症化しており、また初犯であっても70%以上の者に薬物依存の疑いが認められたという報告がある。比較的若く、障害ももたない薬物事犯による受刑者の場合は、地域社会において生涯に渡って薬物離脱を続け、“回復し続ける”ことが再犯防止ならびに自立した健康生活を持続するために必要であるにも関わらず、現行制度においては、それを支援するための司法と地域保健分野の連携・協働体制が有機的に機能しているとは言えない。本研究では、矯正施設入所経験者への出所直後からの支援と連携に注目し、司法と地域保健をシームレスに“つなぐ”要件を検討することを目的とし、矯正施設出所直後からの支援に携わる地域生活定着支援センター職員、保護観察官、保護司、更生保護施設職員を対象に、受刑経験者の健康生活支援に係るそれぞれの連携・協働に係る質問票調査を実施した。地域生活定着支援センター職員240人(全国48か所×5人)、保護観察官331人(全国50か所×5人、ただし北海道、宮城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、広島県、福岡県については10人程度)、保護司300人(全国886か所の構成保護サポートセンターから都道府県別人口を考慮して100か所を抽出し、各3人)、更生保護施設職員312人(103か所×3人、施設規模に応じてプラスα)を対象に、質問票を送付した。これまでに、地域定着支援センター118件(49.2%)、保護観察官196件(59.2%)、保護司154件(51.9%)、更生保護施設171件(54.8件)の回答が得られた。今後、得られたデータの分析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定の刑務所内での受刑者に対するインタビュー調査については、COVID-19の影響を考慮し、実施を見送ったため、研究の進捗としては「遅れている」が、コロナ禍であっても実施可能な調査(出所後の生活支援に携わる司法・福祉関係者に対する質問票調査)に取り組むことで、一定程度研究の進捗を補完できたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に実施した出所後の生活支援に携わる司法・福祉関係者に対する質問票調査のデータ解析を行い、結果公表のための報告書ならびに論文執筆を行う予定である。また、COVID-19の状況によっては、可能な範囲で、当初計画していた刑務所でのインタビュー調査を実施予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス蔓延により、2021年度に予定していた調査を実施することができなかった。当初予定の計画通りに実施できなかった部分を補完するために、2021年度は研究計画を一部変更し、新たなデータ収集を行った。その解析と成果報告については、2022年度に実施するため、研究費が必要となる。研究成果については、報告書として取りまとめ、調査に協力いただいた関係機関等に配布する予定である。また、新型コロナウィルス感染症の状況によっては、中断していた刑務所でのインタビュー調査を可能な範囲で実施する予定であるため、交通費や録音したインタビューデータの文字起こしのために研究費が必要となる。
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