研究課題/領域番号 |
18K19686
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
上野 貴将 熊本大学, エイズ学研究センター, 教授 (10322314)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | HIV/AIDS |
研究実績の概要 |
母体から胎児あるいは新生児へ病原ウイルスは垂直感染する。HIV陽性小児に対して速やかに抗レトロウイルス剤を投与する母子感染予防プログラムが導入された結果、多くのHIV陽性小児が生き残り、一部は10代後半へと成長した。ところが、こうしたサバイバーも感染病態が不良で、多剤併用療法への応答性が悪い。しかし、HIV陽性小児の予後が悪い要因は明らかではなく、サブサハラアフリカ地域では社会問題となっている。本年度は、感染者をリクルートし、臨床検査データの取得、感染ルートなどに関するアンケート収集に加えて、血液検体の採取後すみやかに血漿およびPBMCを分離して保存するスキームを組織的に実施するシステムの構築を目指した。国立ムヒンビリ病院に通院中のHIV感染者で、母子感染後にHIV陽性となったケースを含む成人HIV感染者(約200例)に本研究へのリクルートを実施した。リクルートする過程で課題として浮かび上がったのは、感染ルートが明確でないケースが非常に多いということであった。カルテ等で遡ることが困難なケースがほとんどであったため、この点の改善を図りケースコントロールスタディとするか、あるいは解析時に一つのパラメーターとしてad hoc解析をするか、検討が必要でることが分かった。実験では、凍結保存した血漿からウイルスゲノムRNAを精製し、PCR法によってウイルスゲノムのうちEnv遺伝子を含む領域を増幅して、シークエンス解析を行った。これらの結果を用いて、ウイルスレベルでの特徴を解析していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
感染者をリクルートし、臨床検査データと、感染者へのアンケート結果、および血液検体を採取するシステムを構築できた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに採取した検体を用いて、ウイルス遺伝子の解析に進む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、国際共同研究先の研究費と有効利用できたため、感染者の検体の採取に関わるコストを圧縮できた。翌年度以降は、これらの検体を用いた実験操作となるため、国内での研究にほぼ使用する予定である。
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