研究課題
母体から胎児あるいは新生児へ病原ウイルスは垂直感染する。HIV陽性小児に対して速やかに抗レトロウイルス剤を投与する母子感染予防プログラムが導入された結果、多くのHIV陽性小児が生き残り、一部は10代後半へと成長した。ところが、こうしたサバイバーも感染病態が不良で、多剤併用療法への応答性が悪い。しかし、HIV陽性小児の予後が悪い要因は明らかではなく、サブサハラアフリカ地域では社会問題となっている。本年度は、国立ムヒンビリ病院に通院中のHIV感染者で、母子感染後にHIV陽性となったケースを含む成人HIV感染者(約200例)に本研究へのリクルートを実施した。リクルートする過程で課題として浮かび上がったのは、カルテ等で遡ることが困難なケースがほとんどであったため、感染ルートが明確でないケースが非常に多いということであった。そこで、10代後半から20代前半までの男女で、母親がいない(あるいはエイズで死亡)、かつ本人にHIV感染するような履歴がない点を一つの指標とすることとした。血液検体を採取後に、血漿からウイルスRNAあるいはPBMCからプロウイルスDNAを増幅して、薬剤耐性領域(プロテアーゼ、逆転写酵素、インテグラーゼ)およびエンベロープ領域の配列を解析した。治療開始前の感染者の約30%で薬剤耐性変異が見つかるなど薬剤耐性変異ウイルス株の蔓延が認められた。また、エンベロープ領域ではサブタイプ間の組換え体が約2割のケースで認められ、そのうち数例ではCCR5指向性とCXCR4指向性が共存する個体が認められた。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (1件)
AIDS Research and Human Retroviruses
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