研究課題/領域番号 |
18K19688
|
研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
大平 哲也 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (50448031)
|
研究分担者 |
木山 昌彦 公益財団法人大阪府保健医療財団大阪がん循環器病予防センター(予防推進部・循環器病予防健診部・健康開発, その他部局等, その他 (10450925)
今野 弘規 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (90450923)
山岸 良匡 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (20375504)
|
研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
|
キーワード | 腸内細菌叢 / 心理的健康 / 肥満 / 笑い / 横断研究 / 介入研究 |
研究実績の概要 |
社会心理的ストレスは多くの生活習慣病と関連することが報告されているが、近年、腸内細菌叢と社会心理的ストレスとの関連が注目されるようになってきた。本研究は、社会心理的ストレスは腸内細菌叢の不均衡の原因になること、及び腸内細菌叢の不均衡を有することがうつ症状・社会不適応等の誘因になるという相互連関の可能性を検証するために、社会心理的ストレスと腸内細菌叢との関連を横断的に分析するとともに、健診データの追跡調査によって、長期に渡る社会心理的ストレスの変化が腸内細菌叢に及ぼす影響を明らかにする。さらに、これまで申請者らが行ってきたポジティブな感情を増やすための心理的介入の腸内細菌叢の不均衡の改善効果、及び腸内細菌叢の不均衡を改善するためのプレバイオティクス・プロバイオティクスによる食事介入の心理的ストレス・うつ症状の改善効果を無作為化介入試験によって明らかにすることを目的とした。本研究により社会心理的ストレスと腸内細菌叢との関連に学術的に貢献できることに加え、我が国の生活習慣病、精神的疾患の予防対策の新たな方策に貢献できる可能性がある。 今年度は、肥満を有する地域住民44名を、年齢・BMIで層別化し、無作為に、介入群(22名)と対照群(22名)に割りあて、介入群には、2週間に1回、8週間に渡って、腸内環境の改善に有効であると報告されている栄養素やそれを豊富に含む食品などに関する集団講義と個別カウンセリングで構成されるプログラムに参加もらった結果、介入群において腸内細菌の多様性が向上し、体重・腹囲が有意に減少し、抑うつのスコアの改善し、笑いの頻度が増えた。 この結果は、腸内環境に着目した栄養教育が、腸内細菌叢に影響することにより、体重・腹囲が減少し、心理的健康度が改善することを示唆したものと考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は次年度の横断研究、介入研究の準備を予定通り進めたことに加えて、介入研究の一部を実施解析した。次年度は心理的健康度を改善するための介入を行うことにより、腸内細菌叢と心理的健康度の連関について予定通り明らかにできると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
地域住民において、腸内細菌叢の検査を実施し、合わせて実施した健診成績との関連を横断的に分析することに加え、過去の健診成績との関連を縦断的に分析する。 介入についてはポジティブな心理因子を増やすための健康教室を実施し、参加者の心理的健康度が改善することに加えて、腸内細菌叢の評価を行うことにより、心理的ストレスの改善が腸内細菌叢に及ぼす変化について明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
地域住民を対象とした横断・縦断研究については、昨年度は交付決定時期から健診までの期間が十分でなかったため、計画のみを実施し、本年度に実際に腸内細菌叢の測定を行うことになった。本年度既に地域住民150人を対象として実施することが決まっており、次年度使用計画通りに研究を行う予定である。
|