研究課題/領域番号 |
18K19689
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
千葉 由美 横浜市立大学, 医学部, 教授 (10313256)
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研究分担者 |
石上 友章 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (50264651)
峯岸 慎太郎 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (80458398)
藤田 孝之 横浜市立大学, 医学部, 講師 (40468202)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 心筋梗塞 / 運動 / 加齢 / 再生 / 評価 |
研究実績の概要 |
現在、心筋梗塞後の損傷心筋への幹細胞を用いた再生医療は非常に注目されている。特に高齢化の著しい日本において、週齢の重なったマウスを用いた実験を推進することは、ヒト、特に高齢者を対象とした臨床応用に向けての重要な示唆を得ることにつながると考える。今年度は、週齢別(8週齢、48週齢)のMyocardial Infarction:MIモデルマウスを用い、MI施術前、施術後1日目、7日目の心機能の変化をEchography:Echoによって経時的に測定した結果、48週齢の方が術後回復が緩やかであることが示された。さらに、心筋梗塞の危険因子の一つである生活習慣病に密接に関係する食餌の種類(コントロール、n-3/n-6系脂肪酸含有、動物性油脂含有)の違いによって、MI施術後の生体内反応にどのような違いが生じるかを精査するための新たな実験系を立ち上げた。これら3群のマウスいずれにもMI施術し、Echoならびに血清マーカーによる評価を行った結果、心機能の評価指標の一つであるEjection Fractionは、動物性油脂群で他の群より機能低下しやすく、施術7日目ではn-3/n-6系脂肪酸群がコントロール群よりも機能低下が抑えられた。ただし、いずれの群においても施術7日目のInterleukin-6、Interleukin-10の抗体反応は確認されなかった。さらに、本プロジェクトチームで使用予定の皮質骨から取り出した候補幹細胞の膜表面蛋白を分析し、標的幹細胞として単離できた可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
週齢の異なる8週齢・48週齢の心筋梗塞モデルマウスを作成し、心機能、血清マーカー等の評価を行った。その結果から、48週齢マウスの心機能の経過については、8週齢のマウスとは異なることが示唆された。また、単に加齢だけではなく、生活習慣病に密接に関係する食餌による影響を考慮した実験系の立ち上げについても順調に進んでいる。単離した候補幹細胞の評価についても概ね良好な経過を得ている。現在、運動介入による効果を示す文献について確認している段階であり、プロトコール作成を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は、週齢別(8週齢、48週齢)のマウスへのMI施術後のEchoにおける経時的変化のデータを再分析するとともに、心筋梗塞の危険因子の一つである食餌(コントロール、n-3/n-6系脂肪酸含有、動物性油脂含有)の違いによる各群のマウスへのMI施術後の生体内反応の違いを精査するための実験系構築のために追加実験をさらに遂行する。Echoならびに血清マーカーによる評価では、MI施術7日目の各群のInterleukin-6、Interleukin-10は、食餌の種類の違いによって、反応の差は見られず同様におさまることがわかった。今後、さらに食餌の脂肪含有量や評価のタイミングを変更し、精査する必要性がある。本プロジェクトで使用予定の皮質骨由来幹細胞の前がん性の評価等についても更に進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度において、心筋梗塞モデルマウス(生後8週齢、48週齢)の心筋梗塞作製後の超音波検査法による経過を評価する作業については、先ず生後8週齢から実施することが優先されると考え、作業工程の順序を一部、変更した。初年度の作業は円滑に進んでいるが、48週齢のマウスを用いた実験については、次年度に繰り越して実施することとしたため、次年度に予算執行する予定である。
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