研究課題/領域番号 |
18K19692
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
増田 光治 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10305568)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 短縮型APC / 大腸がん / がん予防 / 天然物 |
研究実績の概要 |
初年度に構築したコロニーアッセイを用いたin vitro評価系で、前年度後半に引き続き、短縮型APCを有する大腸がん細胞株(DLD-1)のみに増殖抑制効果を示す化合物(混合物を含む)を探索した。 評価する化合物は、文献で示されている合成化合物をポジティブコントロールとして、その化合物の作用機序や関連分野の文献調査などから、カロテノイド類(リコペン、フコキサンチン、など)、フラボノイド類(エピガロカテキン、エピガロカテキンガレートなど)、アントシアニン類(シアニジン、など)、その他(セサミン、ベルベリンなど)の天然物、それらの誘導体や混合物など、また、脂質代謝系酵素の阻害剤や薬剤(スタチン類、フィブレート類、など)を中心に、選択した。 まず、短縮型APCを有する大腸がん細胞株のみに増殖抑制効果を示す化合物を選択し、次に、それらの濃度依存性を検討した。濃度依存的な抑制効果が認められた化合物について、正常型APCを有する大腸がん細胞株(HCT116)に対する増殖抑制効果について、同様の濃度で確認した。 これらの結果、正常型APCを有する大腸がん細胞株に対する効果と比較して、短縮型APCを有する大腸がん細胞株には、より低濃度で増殖抑制効果を示す複数の天然物が選択できた。 選択した化合物について、複数回、再現性試験を行い、新規合成化合物であるポジティブコントロールと同等の短縮型APC選択的な増殖抑制効果ではなかったが、目的とする作用をもつ化合物である事を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画初期のスクリーニング系構築で、評価系に用いる培養用培地組成の検討に時間が掛かったことから、スクリーニング開始から目的とする作用を持つ化合物の選定までに当初の予想よりも多くの時間が掛かったため。
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今後の研究の推進方策 |
選択した天然物について、入手出来る配糖体や類縁体、またそれらを含む混合物で同様の評価を行い、増殖抑制効果において短縮型APCを有する細胞に対する選択性が高く、且つ、量的な入手が容易な化合物を1つないしは2つ選択する。 それらについて、APC minマウス腸管ポリープ由来細胞で、同様の効果を示す事を検証し、更に、in vivo大腸発がんモデルを用いて、経口摂取による個体での大腸がん予防効果について評価する予定である。 前後して、Western blot法やFacs解析法を用いて細胞周期やアポトーシスに対する作用を検証することで、化合物の作用機序に関する検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、今年度中に作用機序の検討等用の抗体や試薬の購入、また動物実験での有効性評価のための費用を見積もっていたが、計画自体が遅延したため、研究計画を1年延長し、それらの予算も次年度への繰り越しとした。
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