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2018 年度 実施状況報告書

法医解剖における致死性不整脈診断への挑戦

研究課題

研究課題/領域番号 18K19694
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

近藤 稔和  和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70251923)

研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2021-03-31
キーワード突然死 / 致死性不整脈 / 時計遺伝子 / 心臓 / 中枢神経
研究実績の概要

突然死の死因の約半数は,心臓・大血管系疾患で占められれている.しかしながら,心臓性突然死例と考えられる事例で形態学的に明らかな変化を伴わない,心室細動等の「致死性不整脈」で死亡したと推測される事例にしばしば遭遇する.ただし,現時点で致死性不整脈の法医学的診断は除外診断で,推定の域にとどまることから,法医診断学的に致死性不整脈の積極的診断法の確立が望まれている.
そこで平成30年度は以下のような検討した.
サーカディアンリズムをつかさどる時計遺伝子は神経細胞のみならず,全身の有核細胞に存在し,各細胞の日内リズムを刻んでおり,心筋細胞も独自に日内リズムを有している.致死性不整脈は,心筋の微小環境に大きな変化をもたらすことが知られている.すなわち,死亡時における心筋細胞の日内リズムを検討するために,様々な死因事例から心臓の左心室心筋を採取した.採取した心筋細胞から総RNAを抽出して,2種類の時計遺伝子REVとBmal1の遺伝子発現について,死亡推定時刻と各死因との関連を検討した.脳ヘルニアに代表される中枢神経障害事例では,心臓におけるREV/Bmal1比は午前中に高く,午後に低くなる傾向が認められた.一方,剖検によって致死性不正脈と診断された事例について,死亡推定時刻は全例午前中であった.それらの事例における心臓のREV/Bmal1は,中枢神経障害事例と比較して明らかに低いものであった.また,事例は少ないが年齢依存的な変化や性別の影響は認められなかった.すなわち,明らかに中枢神経障害事例と異なるパターンを示したことから,致死性不整脈を診断するための指標となる可能性が考えられた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

種々の死因について心臓組織を収集することができ,時計遺伝子の発現を検討することによって,致死性不整脈に特異的なパターンを見出すことができた.さらに,致死性不整脈以外の心臓死についても検討を進めて,致死性不整脈のパターンと異なることも確認した.ただし,検索した分子は2つの時計遺伝子にとどまってしまい,その他の時計遺伝子についても検討する必要がある.
動物モデルについての検討の必要である.

今後の研究の推進方策

法医解剖試料の収集を継続する.
時計遺伝子以外の分子について検討する.
動物モデルについて検討を進める

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Protective Roles of Interferon-γ in Cardiac Hypertrophy Induced by Sustained Pressure Overload.2018

    • 著者名/発表者名
      Kimura A, Ishida Y, Furuta M, Nosaka M, Kuninaka Y, Taruya A, Mukaida N and Kondo T.
    • 雑誌名

      J Am Heart Assoc

      巻: 7 ページ: pii: e008145

    • DOI

      10.1161/JAHA.117.008145

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 圧負荷による心不全の病態形成におけるSpi-Bの役割解析-プロテオグリカンと炎症性サイトカインの発現制御-2018

    • 著者名/発表者名
      379.木村章彦,石田裕子,野坂みずほ,佐々木 泉,樽谷 玲,山本寛記,國中由美,加藤 喬,福田有里,改正恒康,近藤稔和.
    • 学会等名
      第39回日本炎症・再生医学会

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公開日: 2019-12-27  

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