研究課題/領域番号 |
18K19702
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研究機関 | 聖路加国際大学 |
研究代表者 |
桑本 暢子 (大久保暢子) 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (20327977)
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研究分担者 |
百田 武司 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 教授 (30432305)
佐竹 澄子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40459243)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 神経可塑性 / ニューロサイエンス / 脳卒中 / 上肢麻痺 / 革新的看護技術 / 生活行動支援 / 看護ケア |
研究実績の概要 |
本年度は、①文献検討の実施と②コンセンサスメソッドの知見をもとに、上肢麻痺改善の生活行動支援プログラム開発の第一段階としてプログラム案を作成した。 ①文献検討は、スコーピングスタディの5ステップを参考にした文献レビューを行った。採用文献の介入内容、アウトカム指標など18のレビュー項目を抽出したテーブルをもとに、文献の傾向の分析、Cochranのリスクオブバイアスと各介入の効果量を算出し効果の高い介入を評価した。結果、RCTによる 10の英文献が抽出できた。体性感覚刺激による介入研究は看護分野では認めなかった。リハビリテーション分野での介入として、両側同時運動訓練、感覚運動トレーニング、温度覚療法の3つがあった。対象者は中等度麻痺を有し、認知機能障害がなく失語症のない者に限定していた。介入効果の高い4文献の介入内容は、簡便で短時間で実施でき、日常生活上の動作として実施可能な理由から看護ケアとして応用可能であり、神経可塑性に基づいた看護ケアへの発展が示唆できた。また、採用した介入研究は、社会的参加や職場復帰が期待できる中等度の麻痺患者を対象としていた。 ②プログラム案の作成は、文献検討結果を含め、さらにコンセンサスメソッドを研究方法としてインタビューと有識者会議を行った。対象者は、脳卒中看護に携わり、臨床経験5年以上の看護師と神経可塑性の研究知見に精通し上肢麻痺の運動訓練に熟達する理学・作業療法士及び研究者計11名であった。結果、プログラム案は「1.プログラムのねらい、2.麻痺側上肢に対するベッドサイド上での動作と心理支援内容」とした。麻痺側上肢を使うベッド上動作を「難易度」と「ADL動作別」に分類し、看護師と患者が安全に行える動作を選定した。対象者会議で、動作訓練は理学療法士で行うが、それを療養生活の中で継続して行うための動作支援は看護師の役割との見解を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年の研究計画書1年目であった。予定していた文献検討と看護ケア案の作成が終了し、2年目の計画に順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は看護ケア案の完成とパイロットスタディを実施する予定である。 インタビュー調査で看護ケア案の精錬を行った後、看護ケア内容の妥当性の検討としてリハビリテーション看護、脳卒中看護、ニューロリハビリテーションの専門家に、海外研究者からの意見聴取を行い、看護ケアを完成させる。 その後、看護ケアを用いた対照群を設定した準実験研究をパイロットスタディを行い、その結果を踏まえてRCTプロトコールの作成を行う計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に看護ケアの完成とパイロットスタディを行う計画を立てていることから、次年度の研究費が必要である。
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