以前より継続していた、死体検案や法医解剖の実務現場で、当該事例の地理空間情報の取得が可能な入力システムを開発を実施し試行システムを実地で検証した。 従来的な異状死データベースに,地理空間情報を結合させた「異状死GIS」の構築、管理、共有に関わる基盤技術を開発し、システムのプラットフォームとしてArcGIS(Esri社)の他、総務省統計局の「地図で見る統計(統計GIS)」を使った小地域分析の応用の可能性について検討を実施した。これらの検証・解析作業を実施し,今後の研究応用可能性について検証した。 東京都監察医務院の死体検案調書等の書類から、平成27年,平成22年の全異状死約3万例の「死亡や急変、受傷の場所や時間に関する情報」を抽出し、これらの 情報のデータベース作業は完了していたが、独立行政法人 統計センターのオーダーメード集計の平成27年国勢調査結果に基づき、東京都特別区内の世帯人員、町丁・字、男女別人口(一般世帯)の統計表の地理空間情報から、上記の可視化技法に基づき、死亡地図を作成した。これらの結果から、年齢、死因ごとの異状死が、特定の地域、沿線あるいは道路沿い等での分布していないかなどを可視化させ、記述疫学的に特徴を把握できる可能性を確認した。町丁字の小地域レベルや警察署管轄の地域レベルを基準とした自殺や突然死などの死亡率データを算出し、空間疫学的解析を実施し、異状死の地域格差や集積性について解析するための各種データの基盤的知見・技術の開発を完了した。
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