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2018 年度 実施状況報告書

死後組織由来iPS細胞を活用した新たな剖検診断スキーム基盤体制の確立

研究課題

研究課題/領域番号 18K19712
研究機関兵庫医科大学

研究代表者

山本 琢磨  兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (50634458)

研究分担者 大津 真  東京大学, 医科学研究所, 准教授 (30361330) [辞退]
梅原 敬弘  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (60617421)
池松 和哉  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80332857)
西尾 元  兵庫医科大学, 医学部, 教授 (90253260)
三浦 綾  兵庫医科大学, 医学部, 助教 (90814814)
研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2021-03-31
キーワードiPS細胞 / 機能性疾患 / 突然死 / 法医学
研究実績の概要

突然死の死因を解明することは医学的社会的に重要事項である。しかし、法医解剖においては、死後の解析であるが故、死後変化という壁によって正しい解析が困難になっている。このため、死後であっても、死後変化を受けない生前の状態を再現する手段が求められている。近年iPS細胞という、あらゆる細胞に分化できる手法が確立しており、これを死後にも応用することは革新的なことである。
原因不明のてんかんの既往があり、死後に遺伝子解析を行ったところSTXBP1遺伝子に変異が検出された小児突然死症例の解剖例に対し、解剖時に線維芽細胞を培養したのち、iPS細胞を樹立した。
今回樹立したiPS細胞は、オリジナルの線維芽細胞と同じSTXBP1遺伝子変異を有しており、STR解析によっても同一性が確認された。さらに、蛍光染色でTRA-1-60、 TRA-1-813マーカー陽性、フローサイトメトリーでSSEA4の発現を確認、qPCRでOCT4、NANOG発現を確認したことで、多分化能を確認した。
死後にiPS細胞を樹立した報告はこれまでにも複数発表されているが、いずれもアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経疾患の病態解明のために、予め計画された段取りによって樹立されたものばかりで、予期せぬ突然死症例に対して、突然死の診断・原因究明目的で行われているものはなく、今回の樹立が初めてである。本成果は死後に生前を再現するという、これまで法医学領域にはなかった新しい試みと言える。
今後は、iPS細胞から神経細胞や心筋細胞へ分化させ機能解析を行っていきたい。また、他に多く残された、遺伝子変異は検出されたもののその意義が不明なままの突然死症例についても、同様にiPS細胞の樹立をすすめたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

一年目はまずは一例の樹立および論文化を目指してきた。初めての事例であったことで予定通り進まないところもあったが、論文投稿までは進むことができた。

今後の研究の推進方策

本事例が報告できた後には、新たに数例のiPS細胞樹立を検討している。

次年度使用額が生じた理由

本研究グループで初めての試みであり、当初予定していた計画通りに進まず、一例目の確立に時間がかかった。反面、複数例を樹立できなかったことで費用は翌年以降に持ち越すこととなり、二年目以降は安定した樹立体制を構築できると考える。

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公開日: 2019-12-27  

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