研究課題/領域番号 |
18K19719
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研究機関 | 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所 |
研究代表者 |
土井 崇広 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 主幹研究員 (90516767)
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研究分担者 |
前畑 佳納子 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 研究員 (40827292) [辞退]
武田 章弘 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 研究員 (00622755)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | カチノン / α-PVT / 結晶構造解析 / フェネチルアミン / エスカリン |
研究実績の概要 |
対象となる規制・乱用薬物群のうち、初年度はカチノン系およびフェネチルアミン系の化合物について、モデル化合物を用いた結晶化条件の最適化を実施した。 カチノン系のモデル化合物にはα-PVT塩酸塩を用いた。10種類の溶媒(水・メタノール・アセトニトリル・アセトン・酢酸エチル・ジクロロメタン・トルエン・ニトロベンゼン・ヘキサン・ジエチルエーテル)について溶解性を検証した。水・メタノール・アセトニトリル・ジクロロメタンで良好な溶解性が見られたものの、その他の溶媒では殆ど溶解しなかった。水・メタノール・アセトニトリル・ジクロロメタンについてはスリット付バイアル中で飽和溶液を調製し、室温で放置・自然蒸発させて結晶の調製を試みた。1週間後に検鏡したところ、ジクロロメタン溶液で最も良好な結晶性が確認できた。結晶性は良好であったが、複数の結晶が融合した性状のものが多数確認された。X線構造解析に用いる単結晶の調製には、緩やかに結晶を生成させることが好ましいとされるが、ジクロロメタンは揮発性が高いため結晶も速やかに生成しているもの考えられた。 次に、α-PVT塩酸塩をジクロロメタンで溶解させたものに、揮発しにくく、溶解しない溶媒を添加した混合溶媒を用いて溶液を調製し、ジクロロメタンのみを揮発させることで結晶の生成を試みた。1週間室温で放置したところ、検討した溶媒のうちニトロベンゼンを加えて調製したもので最も良好な結晶性が確認された。ビーム幅をはるかに超える巨大結晶が生成したため、結晶をサージカルナイフで切断し単結晶X線構造解析に供したところ、15分の測定で構造の導出が可能であった。 また、フェネチルアミン系のモデル化合物としてエスカリン塩酸塩を用いて同じ溶媒を用いて結晶化条件の検討を行ったところ、アセトン・アセトニトリルで非常に良好な結晶化が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
測定対象としている化合物群のうち、2グループのモデル化合物について、非常に良好な結晶化条件を見出すことが出来ており、一部化合物群においては方法論構築の実現が期待できる段階まで進行している。
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今後の研究の推進方策 |
モデル化合物で良好な条件を見出すことが出来たカチノン・フェネチルアミンの2化合物群については、他の化合物に同じ条件を適用し、適否の判定を行う。うまくいかない場合には、温度条件についても検討を行うと共に、さらにモデル化合物を追加し、分類を細分化して方法論の検証を遂行する。 他の化合物群についても、両化合物群同様にモデル化合物での条件検討を実施し、プロトコール化を目指す。検討に用いる十分量を確保するため、必要があればモデル化合物の原料を購入し合成を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に低振動型インキュベータの購入を計画していたが、室温での検討で結晶の精製が確認できたため購入を先送りし、その分の残額が出ている。また、一部の化合物群で予定より計画が進んだため、他の化合物群で使用を予定していた費用が未使用となった。 2019年度は結晶化条件を安定させるため、低振動型インキュベータを購入し一定温度での検証を実施する。昨年度分に予定していた他の化合物群の研究計画も併行して研究を遂行することで、当該使用額分もあわせて支出することを想定している。
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