研究課題
本課題の目的は、骨と歯を同時に守るキサントフィルの機能解明を行い、新しい概念の機能性食品開発への橋渡し研究を行うことである。骨粗鬆症と歯周病に関わる共通のメカニズムを解明し、キサントフィルの骨保護作用を活用した“骨と歯の健康維持”に有効な機能性食品の開発基盤を確立する。これまでに、骨粗鬆症マウスでは四肢を形成する長管骨、脊椎骨の海綿骨骨吸収の亢進とともに、膜性緻密骨である歯槽骨骨量が低下することを明らかとしてきた。これら性ホルモン欠乏に起因する骨吸収は、長管骨の海綿骨を主とした破壊に加えて、緻密骨である歯槽骨の骨吸収にも関与し、すでに骨破壊が進展している歯槽骨に歯周疾患で誘発された炎症性骨吸収が加わることを意味しており、相互が骨破壊のリスクとなることが考えられる。そこで、今年度は、キサントフィルによる骨粗鬆症と歯周病の改善効果検証を行った。骨粗鬆症/歯周病併発モデルマウスに、キサントフィルを摂取させ、骨粗鬆症と歯周病の併発へのキサントフィルの有効性を評価した。評価は歯槽骨、大腿骨を用いてマイクロCT3次元解析、骨形態計測を実施し、雌雄両性におけるキサントフィルの歯と骨へ与える影響を詳細に解析した。これら結果から、キサントフィル摂取により、骨粗鬆症/歯周病併発モデルマウスにおける骨破壊が抑制された。そこで、キサントフィルの骨保護作用を活用して、“歯と骨の健康維持”に有用なサプリメントとしての安全性試験を行った結果、適正摂取量の設定が可能となり、今後の機能性食品の開発へつなげた。これら知見により、歯科医師、医師、薬剤師の連携により、近未来にヒト介入試験を実施して機能性表示食品として開発する方針でその基盤データを確立した。最終的には、これらの研究成果により、キサントフィルを活用した歯と骨の健康を守る機能性食品のプロトタイプの開発試験へとつなげることが可能となった。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
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