2020年度は,前年度までに実施した,運動学習支援エージェントと被験者の協調運動学習実験の結果の解析と,対外発表ならびに学術論文の執筆等に従事した.また,これまでの研究で高い有効性を示したスキルレベル調節エージェントについて,学習者のレベルによらずレベルをあらかじめ定められたスケジュールで段階的に上げていく「レベルアップエージェント」の実験条件を追加して実験を行うことで,学習者のレベルに合わせて運動支援を行う(人と相互適応すること)が,真に運動技能の向上を実現する上で重要であるか否かを実験的に明らかにすることを試みた.その結果,学習者の上達に合わせてレベルを上げるスキルレベル調節エージェントと組んだ被験者グループが,学習後に有意に高い運動成績・汎化性を示すことを明らかにした. 研究業績としては,前年度まで実施した協調運動学習実験の結果について,IEEEの国際会議EMBC2020と第38回日本ロボット学会学術講演会にて口頭発表した.また,協調運動学習実験の具体的な方法・結果に加えて,研究背景・目的から波及効果までを含めて日本ロボット学会の学会誌に解説記事として発表した(2020年12月号).さらに8月には,計測自動制御学会自律分散システム部会の若手研究者向けサマースクールで「人とロボットの相互適応」という演題で講演を行った.現在は,本年度までの実験データをまとめて,国際学術論文誌への投稿に向けて準備を進めている.
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