研究課題/領域番号 |
18K19734
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
藤枝 重治 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (30238539)
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研究分担者 |
二之宮 貴裕 福井大学, 学術研究院医学系部門, 特別研究員 (30796199)
野口 恵美子 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40344882)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | スギ花粉症 / 鼻腔内細菌叢 / 嫌気性菌 / 舌下免疫療法 / 善玉菌 |
研究実績の概要 |
スギ花粉症は、国民の約4割が発症している国民病であるが、その中で内服薬の効果に乏しい重症患者が舌下免疫療法を希望する。舌下免疫療法は唯一根治性のある治療として注目されているが、7 割に有効性が認められる一方で、2 年以上の長期治療にも関わらず3 割程度は効果が乏しく、治療効果が予測できないため、十分な普及には至っていない。近年、酪酸菌を同時投与することによる相乗効果が報告されており、免疫療法の治癒効果に関わる細菌叢があることが推察される。現在、消化管アレルギー性疾患では、腸内細菌叢破綻を回復するために健康なヒト糞便を患者へ移植する「糞便移植法」が行われ有効性が確認されている。さらにマウス実験では、17 株の善玉菌を集めた細菌カクテルを用いて糞便移植による治療効果が確認されている。アトピー性皮膚炎では、皮膚善玉菌の皮膚移植による治療効果が報告されている。アレルギー性鼻炎でも同様に、健康な鼻腔細菌叢から善玉菌を集めた細菌カクテルを作成し、患者の鼻腔へ移植することによって、従来の免疫療法の根治性を高めることを着想した。 スギ舌下免疫患者105名の鼻腔の細菌叢を16S rRNAシークエンスで求め、舌下免疫療法の治療効果と検討した。スギ舌下免疫患者の鼻腔からは、Firmicutes、 Bacteroidetes、Proteobacteria、Unclassified、Fusobacteria 、Actinobacteria の順で検出できた。舌下免疫療法で効果の高かった群と効果のなかった群を比較検討すると鼻腔内細菌叢に2種類の嫌気性菌が検出された患者で舌下免疫療法の効果が有意に高かった。以上の結果からこの2種類の嫌気性菌は鼻内善玉菌であることが判明した。
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