研究課題/領域番号 |
18K19735
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
永田 知里 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30283295)
|
研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
|
キーワード | 生活習慣病 / インスリン抵抗性 |
研究実績の概要 |
皮膚の色(スキンカラー)は主に表皮のメラノサイトで産生されるメラニンの量やサイズによる。自らの研究で一般女性おいて上腕及び前腕内側の皮膚が白いほどインスリン抵抗性が高かったことから、スキンカラーは、インスリン抵抗性が関与する疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム、乳がんなど生活習慣病発症に関わるとの仮説を持った。そこでスキンカラーと生活習慣病の関連についてそのメカニズムの裏付けも含め評価することを最終目的としている。 本年度では、今後規模の大きい疫学調査に用いるよう自己申告によるスキンカラーの測定法を考案することとした。6種類の色をパソコン上でペイント機能を用い選定した。この中から対象者に本人の上腕内側、手背に該当する色を選んでもらい、一方、観察者がメグザメーターでメラニン指数を測定し比較することで妥当性を評価する。現在、データ収集中であり、最低60名の参加を得る。 また、本年度は各種疾患のサロゲートとして生活習慣病に関与するバイオマーカーとスキンカラーとの関連性の有無について評価した。レプチンは肥満やエネルギーホメオターシスに関与すると考えられており、体脂肪が増えると分泌量が上がるとされている。また、血中エストロゲンやプロラクチンが高いこと、性ホルモン結合グロブリン値が低いことが乳がんリスクの上昇を反映していると考えられている。閉経前女性446名の対象者において、年齢、BMI、喫煙、月経周期、測定季節で補正後、血中レプチンやプロラクチン値が高いと上腕内側のメラニン指数が低く、性ホルモン結合グロブリン値が高いとメラニン指数が高かった。これらの結果から、スキンカラーが肥満、メタボリックシンドローム、乳がんに関連する可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
メラノサイト刺激ホルモン (α-MSH)がスキンカラーと疾病の関連を介在する因子の一候補と考えている。そのため、血中濃度を測定し、スキンカラーおよび生活習慣病の各種バイオマーカーとの関連を評価し、メラニンの関与を確認する予定であったが, 今のところ国内では測定可能なラボが見当たらずにいる。
|
今後の研究の推進方策 |
自己申告によるスキンカラーの測定の妥当性について、研究期間中に終了する。 今後、直接スキンカラーと糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、乳がんとの関連性を評価出来るよう研究拡大を図るが、スキンカラーの測定法は妥当性評価の結果に依る。研究実施は以前共同研究を行ったことのある病院、人間ドックを考えているが、測定機器を用いる場合は、実際的な意味で、時間、費用の考慮も重要となる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
バイオマーカー測定を計画していたが、測定可能な機関が見つかっていないため、翌年分と合わせて使用する。
|