研究課題
骨格筋を構成する主たる細胞は筋線維と呼ばれ、我々の体の中で最も巨大な細胞である。筋線維は代謝経路や収縮装置(筋原繊維)を構成するミオシン重鎖により、速筋タイプと遅筋タイプに分類されている。速筋タイプは、疲労度は高いが瞬発力発揮にすぐれている(短距離ランナー型)。一方、遅筋タイプは、瞬発力発揮には不向きだが耐疲労性を有している(マラソンランナー型)。速筋・遅筋の比率は全部位の骨格筋で同一ではなく、遅筋が多いヒラメ筋(Soleus muscle)や速筋が多い長趾伸筋(EDL muscle) など、部位によってその比率は異なる。また、様々な筋疾患特異的に遅筋が速筋に変化したり(slow-to-fast) 逆に速筋が遅筋に変化したりする(fast-to-slow)。このように筋線維タイプの比率は内的・外的影響を受けると考えられている。また、発生学的には全ての筋線維は速筋タイプミオシン重鎖(Myh1)を発現し、その後速筋・遅筋タイプに分かれるとの報告が存在するが、詳細は不明である。申請者は、遅筋タイプの筋線維特異的に認識するモノクローナル抗体3A11-3 を樹立した。この抗体は、、成体での遅筋線維(Soleus)よりも、新生仔時期(Neonatal Hind limb)の遅筋線維で反応性が強い結果が得られている。そこで、本年度は、ヌードマウスに3A11-3 ハイブリドーマを投与することで、3A11-3 抗体含有腹水を大量に採取した。また、生後7日前後の骨格筋組織を胎仔より採取し、3A11-3が認識する抗原として用いた。現在、連携研究者にサンプルの解析を依頼している。
3: やや遅れている
これまで採取していた抗体・抗原サンプルでは、確認できたバンドがウエスタンブロッティングで再現できなくなったため、抗体・サンプルとも採取し直すのに時間を要したため。
3A11-3の抗原決定のために、再現性のある結果を追求する。
抗原の決定はできていないために、予定の実験を行えていないため。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Journal of Neuromuscular Disease
巻: 5 ページ: 407-417
10.3233/JND-180324.