研究課題
本研究は心不全で惹起される骨格筋の機能低下に対するパルス磁気刺激の効果を検証することを目的にしている。磁気刺激は従来の電気刺激に比較して非疼痛性や照射の簡易性等の利点が多い。そこで、磁気の特性を活用して、心不全の骨格筋の微小循環とミトコンドリア機能障害に対する効果を検証した。2018年度は心不全モデル動物の作製と筋萎縮の予防的な観点から磁気刺激の効果を検討し、さらに磁気刺激の効果を増強させるための筋伸長装置の製作を開始した。モノクロタリン誘導性心不全モデルでは心臓や心室の重量は著しく増加し、心不全を呈した。また、治療として実施した下肢への磁気の照射は心臓の増悪や改善に関与しなかった。さらに心不全に伴い下肢ヒラメ筋量は有意に低下し、下肢への磁気刺激は下肢筋量の低下を抑制できなかった。本結果から心不全を伴う骨格筋の萎縮(量的変化)に対してパルス磁気刺激は萎縮を予防することは困難であると結論づけられる。一方、心不全時には筋持久力の低下が著しく、日常生活に影響を与えるために、骨格筋の微小循環やミトコンドリア障害を予防することが重要である。ミトコンドリアTCAサイクルに関与するクエン酸シンターゼ(CS)、コハク酸脱水素酵素(SDH)、β-ヒドロキシアシル CoA(β-HAD)の活性は低下し、毛細血管数も減少していることが確認された。2019年度は筋持久力に影響を及ぼす因子の解析やパルス磁気刺激の効果を検証する。また、パルス磁気刺激のみでは効果が限定的であると考えられることからパルス磁気刺激の作用を増強させるための装置の製作し、効果の検証を実施する計画である。
1: 当初の計画以上に進展している
当該年度の目標を達成し、計画より早く進行している。
心不全モデルにより筋萎縮が確認され、本研究で使用できるモデルが完成した。また、パルス磁気刺激により筋萎縮を予防できなかったことも当初から予想していた結果である。本年度は微小循環やミトコンドリア機能などを検証すると共に筋伸長を付加した装置を製作して、本筋伸長装置を付加することで高い効果が得られるかを検証する計画である。
本研究で使用する磁気刺激装置については、他の資金により購入し、磁気刺激装置に付加する筋伸長装置の製作に本予算を使用する計画である。筋伸長装置の製作については、2019年度の完成を計画して、予算を使用する。また、効果を検証するための試薬や抗体の購入費用として使用する計画である。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 13件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (27件) (うち国際学会 10件、 招待講演 1件)
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