研究課題
我々は、視床下部から新規分泌性小タンパク質(neurosecretory protein GL; NPGLと命名)を発見している。ラットやマウスにおいて、NPGLは摂食行動の亢進や白色脂肪組織における脂肪蓄積を生じさせることを見出している。一方、体重増加は顕著ではなく、その原因が骨長や骨格筋の減少によることがわかった。体重減少を伴わず、脂肪が増え、筋肉が減少することが知られているサルコペニア肥満が近年注目されている。したがって、本研究課題では、NPGLの生理作用を有効に活用することで、サルコペニア肥満様状態を呈するモデル動物の産出が可能であると考えた。これまでの研究から、NPGLの作用機序として、成長ホルモンやインスリン様成長因子とは独立して骨長や骨格筋の抑制が生じていることを見出している。さらに、炭水化物の割合が少ない高脂肪食給餌下では骨長の抑制が顕著に起こることを見出してきた。NPGLの作用を用いたサルコペニア肥満モデル動物の確立のために、研究期間を通じて、トランスジェニック動物、CreリコンビナーゼをNPGL遺伝子の下流にノックインし時期特異的にNPGL産生細胞を活性化・不活性化する遺伝子改変動物、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)による前駆体遺伝子過剰発現動物、NPGLを脳室内へ慢性投与する動物などの作製を試みた。その結果、最も脂肪蓄積が顕著で筋肉量が減少するサルコペニア様動物モデルとして、AAVを用いた前駆体遺伝子過剰発現ラットが適していることを見出すことができた。この作用機序としては、NPGLによる白色脂肪組織での脂肪蓄積が優先されるために骨長や骨格筋の成長が抑制されることが示された。今後、老化に伴う表現型を解析することで、サルコペニアの発症メカニズムの詳細な解析が可能になると思われる。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 1件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 9件)
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