研究課題/領域番号 |
18K19750
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研究機関 | 東京家政大学 |
研究代表者 |
鈴木 誠 東京家政大学, 健康科学部, 教授 (80554302)
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研究分担者 |
田山 淳 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (10468324)
田中 悟志 浜松医科大学, 医学部, 教授 (10545867)
小川 豊太 (濱口豊太) 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (80296186)
鈴木 貴子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (60549343)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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キーワード | 行動学習 / リハビリテーション / 脳刺激 |
研究実績の概要 |
2020年度の研究では,健常成人15名を対象とし,感覚信号に同期あるいは非同期させた連合性ペア刺激が皮質脊髄興奮性と運動パフォーマンスに及ぼす影響を検証することを目的とした. 50試行の習熟セッションに引き続き,長期増強条件と長期抑制条件から成る運動練習をそれぞれ100試行反復した.運動練習は,3秒間隔で提示される電子メトロノームの開始合図に応じて,右示指を最大可動域まで素早く外転する課題を反復した.感覚信号が一次運動野に到達する潜時を考慮し,長期増強条件では示指外転開始の36.0 ms後に安静時運動閾値の130%の強度で第一背側骨間筋のhotspotに経頭蓋磁気刺激を行った.長期抑制条件では,示指外転開始の35.3 ms後に同強度および同部位に経頭蓋磁気刺激を行った.ローカル線形トレンドモデルを用いて経頭蓋磁気刺激による運動誘発電位振幅および示指外転運動の反応時間に関する観測値から状態値を推定し,両条件における相違を検証した. 実験の結果,運動誘発電位振幅の平均±標準誤差は,長期増強条件で7.40±0.08 mV,長期抑制条件で6.82±0.08 mVであり,長期抑制条件よりも長期増強条件で運動誘発電位振幅が上昇した(p < 0.0001).また,反応時間は長期増強条件で275.99±2.43 ms,長期抑制条件で292.52±3.52 msであり,長期抑制条件よりも長期増強条件で短縮した(p < 0.0001). 長期増強条件と長期抑制条件において皮質脊髄興奮性に相違を認めたことから,運動に伴う感覚信号に同期あるいは非同期させた連合性ペア刺激によって一次運動野において長期増強および長期抑制が生じたと考えられた.また,皮質脊髄興奮性に加えて反応時間にも相違を認めたことから,感覚信号に同期あるいは非同期させた連合性ペア刺激が運動パフォーマンスを調節し得ることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大に伴う実験活動の自粛要請に加え,連合性ペア刺激が運動パフォーマンスに及ぼす影響が当初の想定以上に小さいことが予想され,2020年度の予定であったAPASを活用した行動介入プログラムの臨床効果を検証することが困難だったため.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の研究では,今年度までに行った連合性ペア刺激および運動解析の手法を応用し,連合性ペア刺激が脳活動および運動パフォーマンスに及ぼす影響について健常者を対象にした実験を継続する.それによって,連合性ペア刺激の臨床的な有用性を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大に伴う実験活動の自粛要請により,研究に遅れが生じたため.次年度は,実験遂行のための物品費および消耗品費,研究成果を学会にて報告するための出張旅費,被験者謝金,研究結果を論文発表するための英文校閲費および論文掲載費の執行を予定している.
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