研究課題
「良薬口に苦し」と言われるように、ポリフェノール等の多くの食品機能成分は好ましくない苦味を呈する。いかに健康に良いことが分かっていても、ヒトはおいしくない食品を日々の生活の中で食べ続けることはできないことから、実生活の中で食品機能成分を有効に利用するためには、苦味の抑制(マスキング)が重要な課題である。苦味は、舌上に存在するヒト苦味受容体(hTAS2Rs)に苦味物質が結合することで生じる。すなわち、あらかじめ苦味成分に他の物質を結合させておけば、苦味成分は受容体と結合できず、苦味はマスキングされるため、苦味成分と結合する物質は苦味マスキング剤として利用できる可能性がある。そこで本研究では、機能性ペプチドのハイスループット探索が可能なペプチドアレイを応用し、苦味成分結合ペプチドの探索とそのマスキング効果の解析を目的とした。葉緑体や大豆などに含まれる食品タンパク質のアミノ酸配列を元に各種ペプチド アレイを作製し、EGCGなどのポリフェノール類を中心に、機能性食品成分と結合するペプチドを探索した。また、見出したペプチドについてはAlanine-scanning、およびDeletion analysisによってその結合メカニズム、結合強度を詳細に解明した。得られたペプチドを用い、カルシウムイメージング法によるヒト苦味受容体の応答評価系を用いて分子レベルでの苦味マスキング効果を検証した。その結果、見出したほとんどのポリフェノール結合ペプチドにおいて、成功裏に苦味マスキング効果が検出された。また別途、アゴニスト類似ペプチドを基にした苦味マスキングペプチドの探索法も開発した。
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