研究課題/領域番号 |
18K19759
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
坂本 静男 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (00266032)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 脂質代謝能力 / 最大脂質酸化量 / 生活習慣病 / メタボリックシンドローム |
研究実績の概要 |
脂質代謝能力とは体内の脂質をエネルギー基質として利用する能力を指す。脂質代謝能力の高い肥満者では低い肥満者と比べてメタボリックシンドロームの危険因子の保有数が少ないと報告されており、脂質代謝能力は生活習慣病のなりやすさに関与していると推察される。しかし、脂質代謝能力と実際の生活習慣病の発症との関連は未だ不明である。本研究では中高年男女1500名での横断研究(検討課題Ⅰ)および300名での縦断研究(検討課題Ⅱ)を行い、脂質代謝能力と関連が強い疾患や危険因子を推定し、脂質代謝能力の変化が生活習慣病の有病率および危険因子へ与える影響を明らかにする。 本研究は早稲田大学卒業生およびその配偶者を対象とした前向きコホート研究(WASEDA's Helath Study)と連携して実施している。当該研究は5年毎に同じ対象者に測定を行い20年後まで追跡調査を実施しようという試みであり、参加者の同意の下、データの測定および試料の採取を実施している。 参加者は心肺運動負荷試験により脂質代謝能力の指標である最大脂質酸化量および最大酸素摂取量を測定する。また、脂質代謝能力の関連因子として二重X線吸収法(DXA法)による体脂肪率、3軸活動量計による身体活動量、簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)による食習慣などを測定する。生活習慣病の現病歴およびリスク評価は、アンケート調査に加え磁気共鳴画像法(MRI法)による内臓脂肪面積、安静時血圧、血液分析による空腹時血糖や血中脂質の測定を行い、生活習慣病の危険因子をスコア化する。 2018年度は研究開始4年目であり、中高年男女1500名での横断研究(検討課題Ⅰ)の実施に向けてコホートを完成させるべく、213名の測定を新たに実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は中高年男女1500名での横断研究および300名での縦断研究を行い、脂質代謝能力と関連が強い疾患や危険因子を推定し、脂質代謝能力の変化が生活習慣病の有病率および危険因子へ与える影響を明らかにすることである。 2018年度は測定装置の入れ替えのため、予定した300名のうち231名しか新たに測定出来なかったが、これまでに測定した人数と合わせて1165名の測定をすでに終えている。よって、当初の計画通り2019年度内には1500名規模のコホートが完成する見込みである。また、1165名の段階での解析も実施予定であり、仮解析の結果を2019年度中に学会発表を行う予定である。それゆえ、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度も昨年度までと同様に早稲田大学の卒業生を対象としたコホート研究 (WASEDA’s Health Study)と連携してデータの測定および試料の採取を行う。また、新規の測定と並行して、これまでに測定したデータを用いて解析を実施する。 2019年5月までに測定を終える1200名のデータを用いて、脂質代謝能力と生活習慣病の有病率および危険因子との関連を横断的に検討する。この結果は9月に茨城県つくば市にて開催される「第74回体力医学会」にて発表学会発表を行う。その後、学会発表で得られた助言を参考に今年度の測定で完成する1500名のコホートを用いて、脂質代謝能力と生活習慣病の有病率および危険因子との関連を再度検討し、研究成果を論文としてまとめ上げる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題は早稲田大学の卒業生を対象としたコホート研究 (WASEDA’s Health Study)と連携して実施している。2018年度は磁気共鳴画像装置の機器入れ替えに伴い半年間測定を行えなかったため、測定および解析に掛かる費用負担が当初予想よりも少なく、次年度使用額が生じた。生じた次年度使用額は2019年度の測定に掛かる費用および1500名のコホートを対象とした遺伝因子の解析費用として使用予定である。
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