研究課題/領域番号 |
18K19759
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研究機関 | 駿河台大学 |
研究代表者 |
坂本 静男 駿河台大学, スポーツ科学部, 特任教授 (00266032)
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研究分担者 |
谷澤 薫平 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 准教授 (50771812)
田端 宏樹 順天堂大学, 大学院医学研究科, 博士研究員 (50876886)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2024-03-31
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キーワード | 脂質代謝能力 / 耐糖能異常 / 高血圧症 / 脂質異常症 / 縦断調査 |
研究実績の概要 |
脂質をエネルギー基質として利用する能力である脂質代謝能力は生活習慣病のリスクとの関連が示されている。しかし、中高齢者における脂質代謝能力と生活習慣病との関連については十分に検討されていない。そこで、早稲田大学の40歳以上の卒業生および配偶者を対象とした前向き観察型コホート研究”WASEDA’S Health Study”の測定データを用いて脂質代謝能力と生活習慣病との関連を検討した。 2023年度はコロナ禍で中断していたWASEDA’S Health Studyの追跡測定が再開され、203名の追跡測定を実施した。そこで、脂質代謝能力の指標として用いられる運動負荷試験により測定した脂質酸化量の最大値(maximal fat oxidation:MFO)がベースライン測定と追跡測定の両方で揃っている男性126名、女性61名の計187名を対象に高血圧、高TG血症および低HDLコレステロールを含む脂質異常症、空腹時血糖値110mg/dL以上の耐糖能異常の新規発症率を検討した。ベースライン測定と追跡測定でMFOが向上した人に対し、低下した人の多変量調整オッズ比および95%信頼区間(CI)をロジスティック回帰分析を用いて年齢、性別、追跡年数を調整して算出した。 脂質異常症、耐糖能異常では有意な差は認められなかったが、高血圧の新規発症オッズ比がMFO向上群に対してMFO低下群で有意に高かった (OR:2.525,95%CI:1.043-6.098)。 よって、脂質代謝能力の低下は高血圧の新規発症と関連する可能性が示唆された。生活習慣病と関連し、肥満であっても脂質代謝能力が高い人では高血圧になりにくい可能性が示唆された。しかしながら、潜在的交絡因子の調整が十分ではないため、今後さらなる検討が求められる。
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