研究課題
挑戦的研究(萌芽)
様々ある食品成分の中でも微量必須栄養素であるビタミンは、脳内にその感知メカニズムがあるのか、また、恒常性を保つ仕組みがあるのかは不明である。そこで、本研究では摂食中枢として知られる視床下部およびその周辺においてエネルギー産生において重要な役割を担うビタミンB1の受容に関わる神経細胞を特定するため研究を実施した。その結果、ビタミンB1欠乏およびそこからの回復に連動して、食欲不振や食欲回復が起こり、脳内の摂食調節メカニズムとビタミンB1レベルの間に何らかの関連があることが示唆された。
神経科学
脳内に糖・脂肪酸・アミノ酸を感知する仕組みがあるのに対し、ビタミンB群・Cなどの水溶性ビタミンを感知する仕組みがあるのか、またあるとすれば、どのような仕組みなのかは、あまり調べられてこなかった。これは、これら成分の生体機能性が100年以上にもわたる疫学・栄養学研究から明らかにされてきたこととは非常に対照的である。ビタミンB1の様々な健康作用がすでに知られていることを考えると、本研究のように脳内のビタミン受容機構の存在を調べることで、その実際の作用機序を解明できると考えられる。