研究課題/領域番号 |
18K19766
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
久米 慧嗣 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (30708441)
|
研究分担者 |
小林 紀郎 国立研究開発法人理化学研究所, 情報システム本部, 上級研究員 (20415160)
|
研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
|
キーワード | 健康インフォマティクス / 画像認識 / 未病診断 / 超微細画像 / 広域電子顕微鏡解析 / 深層学習 / セマンティックセグメンテーション / 血液細胞 |
研究実績の概要 |
本研究では、培養細胞、モデル動物やヒト検体を対象に、病気の潜在的状態である「未病」の状態を早期かつ超高感度検出する健康科学分野への革新的な技術提供を目指す。これまでの研究開発により、自動撮像技術によって広域を高速に撮影できる電子顕微鏡解析法(広域電顕)を構築してきた。 本年度は、培養血液細胞、あるいは正常や老齢の動物(マウス)の組織を対象に、広域電顕技術やバーチャルスライドを利用したイメージング解析を実施して、それらの画像データの取得・蓄積を進めた。これらの画像データには、我々が構築を進めている顕微鏡オントロジーを利用して、メタデータ付加等を実施した。すでに組織や血液細胞の画像が大量に蓄積されているため、誰でも直感的に利用できるツールが必要であった。そこで、Web経由で使える画像ビューアを試作して、画像データの可視化を進めた。このようなシステム構築によって画像データを共有した結果、様々な専門家やスタッフとも知識共有ができ、画像データへのアノテーションなどがスムーズに行うことができた。また、培養細胞や動物組織において、機械学習を用いた画像セグメンテーションの検討も進め、画像中にある生命構造を解読して、意味づけを行えるかどうかを検証した。その結果、血液細胞の細胞核においては、60-70%の精度にてその構造領域を認識できるところまで達成した。さらに、当初計画以上に進み、実際のヒト血液検体を取得して、ヒト血液細胞の電顕処理やバーチャルスライド解析も実施し、細胞ラベルデータの蓄積も進めることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
培養細胞や動物組織サンプルでの画像データ蓄積に加えて、ヒト血球細胞の超微細構造解析もすでに着手している。また、機械学習を用いた画像セグメンテーションの検討も進んでおり、当初計画以上に進捗している。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は、(計画1) 未病時の組織や血液細胞における電顕画像データの蓄積、およびメタデータの付与、 (計画2) 機械学習法を用いた画像メタデータの自動生成技術に関する検証実験、(計画3) 機械学習と画像メタデータに基づく知識語彙の階層構造構築に関する検証、 (計画4) 未病者スクリーニング、およびヒト血球細胞の超微細構造解析による検証試験といった4つの計画からなり、2年目では、(計画2) や(計画3) に関する検証実験を主に進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、本研究をサポートする実験補助員を雇用しなかった。そのため、人件費を繰越した。2年目あるいは3年目に適任者を雇用できれば、人件費として支出する予定である。また、旅費については今後海外での研究発表を予定しているために繰越した。
|