研究実績の概要 |
本研究課題の目的は第1にチューリング完全な折り畳みシステム(OS)の小型化、第2にチューリング完全でないOSの特徴づけである。 第2の課題については昨年度終了時点で成果をまとめた論文が国際会議TAMC2019に受理されており、今年度の4月に共著者の丸山(発表時点で修士2年)、森田(同、学部4年)が口頭発表を行った。 第1の課題については昨年度、生方とSchabanel(ENS Lyon, France)が1次元セルオートマトン(CA)をシミュレートするOSの実装案を提示していた。CAは全ての計算可能関数を計算することが出来るので、このようにして得られるOSはチューリング完全である。更に既存のチューリング完全OSに比べて3分の1以下の183種類の分子で実装可能という利点もある。Schabanelと代表者に本年度から参加したPchelina(ENS Paris, France)の3人でこの案をより洗練、簡潔化し、計算機上で実際に実装、それが正しく動作することを数学的に厳密に証明した。このシミュレータを検証用にAppStoreにて無料で配信している(https://apps.apple.com/us/app/caos-simulator/id1488203962)。この成果をまとめた論文は国際会議LATIN2020 (Sao Paulo, Brazil, May 25-29)に採択された。 これら以外の成果として、丸山による無限2進数カウンタの実装がある。数の数え上げはそれ単体でチューリング完全であることから極めて重要な演算である。この事実を反映し、最初に実装されたOSは固定ビット幅の有限カウンタであった。この成果は国際会議SOFSEM2020 (Limassol, Cyprus, Jan. 20-24)に採択された。
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