研究課題/領域番号 |
18K19784
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
和泉 慎太郎 神戸大学, システム情報学研究科, 准教授 (60621646)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 非接触 / 生体認証 / 生体計測 / マイクロ波ドップラー / 心拍 |
研究実績の概要 |
2019年度は、識別精度向上に向けたマイクロ波ドップラーセンサ出力のノイズ低減に取り組んだ。従来はドップラーセンサ出力のI波を直接AD変換し、後段でフィルタ処理と周波数解析を行っていた。センサ素子の見直しと、専用増幅回路の設計、及び高精度24bitAD変換器の導入により、心拍成分が微弱な場合でも強調・識別が可能な精度が得られた。これによって、従来は胸部前面からでなければ計測できなかった心拍成分が、背面からでも計測できることが確認できた。さらに、感度が劣る小型アンテナを使用した場合でも心拍成分を計測できることが確認でき、システムの小型化にもつながった。 胸部前面から計測を行った場合、周波数成分が数Hz程度の低周波成分と、20~40Hzを中心とする高周波成分の両方に心拍と相関のある特徴が見られた。背面からの計測ではほぼ低周波成分だけが計測されていた。この低周波成分は光電容積脈波センサで計測できる脈波と相関が高く、動脈の振動を体表面で捉えていると考えられる。一方、高周波成分は胸部に加速度センサを貼り付けて得られるBallistocardiograms(BCG)に近い特性を示すことがわかった。これらの特徴を活かすことで、さらなる個人識別の精度向上が期待できる。 また、個人識別については、従来検討していた相関係数による方法ではなく、深層生成モデルを用いた方法を検討した。新しく開発した手法は2020年度に実証実験で性能を評価する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
精度の向上は予定通りに進行している。年度末に予定していた計測実験が感染症の流行により中断しているが、2020年度には予定通りの実験を完了する見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度に改良したセンサ・回路と解析手法を用いて、2020年度中に30~40名程度で再度実測を行い、識別精度の評価を行う予定である。機械学習アルゴリズムの改良にも取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に実施予定であった実験、及びそのための基板設計が新型コロナウイルス感染症の影響で実施できなかったため、2020年度にまとめて実施する。
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