研究課題
最終年度である2020年度は、2019年度までに取り組んだ信号処理アルゴリズムと計測回路をさらに発展させ、機械学習を用いた個人認証アルゴリズムの開発に取り組んだ。従来はマイクロ波ドップラーセンサ出力を周波数変換した後のスペクトログラムと自己相関を用いたアルゴリズムを提案していたが、今年度はVariational Auto Encoder(VAE)を用いた精度改善を検討した。具体的には、VAEの一種である Conditional Variational Auto Encoder(CVAE)を適用し、個人識別IDごとに潜在変数空間上での分布が分かれるようにエンコーダを学習させた。学習・評価に用いるデータは1心拍分のドップラー波形を切り出して使用した。被験者20名のデータを、センサと人体間の距離を変えて1分間の心拍を実測し、提案アルゴリズムを評価した。□2.5cmのアンテナサイズのマイクロ波ドップラーセンサを使用し、開発した増幅回路と高精度24bitADCを組み合わせることで低ノイズに非接触な心拍計測を可能とした。サンプリングレートは500Hz、計測デバイス全体の消費電流は約50mAであった。測定距離は人体表面から1mの地点でもすべての被験者に対して心拍の計測が可能であり、人体背面から計測可能であることも確認した。また、計測時のセンサと人物の距離が異なるデータを混合して用いた場合の正解率は最高で96.15%であり、2019年度までに開発した周波数変換とCVAEを組み合わせることで識別精度が改善されることを確認した。本研究の成果は2021年度に学会発表予定であり、論文誌に投稿中である。
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