研究課題/領域番号 |
18K19790
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
山下 茂 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (30362833)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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キーワード | 量子回路設計 / 測定型量子回路 / 最適化 |
研究実績の概要 |
量子デコヒーレンスによるエラーに対して耐性を持つ計算モデルとして lattice surgery が提案されている.そのため,lattice surgery では,量子ビットを lattice に符号化した論理量子ビット同士を結合と分割することによって計算を行う.任意の量子回路を lattice surgery にマッピングする手法が Lao 氏らによって提案されている.Lao 氏らの手法では,lattice surgery の利点の 1 つである multi-target CNOT ゲートを考慮していない.また,Lao 氏らの手法で用いているレイアウトでは,1 つの論理量子ビットと 3 つの論理補助量子ビットを 1 つの区画としている.したがって,レイアウト上における論理量子ビットの充填率は最大 25% となる.その手法を改善するために,lattice surgery における lattice の回転操作を利用することで,レイアウト上における論理量子ビットの充填率を向上させる手法を考案した.考案した手法では,lattice の回転を利用することで,論理量子ビット 1 つあたりの論理補助量子ビットの数を削減したレイアウトを用いる.提案手法を用いることで,Lao 氏らの手法と比べ,全体の surface code の大きさを平均して 45.9% 削減することに成功した. また,量子回路設計に論理関数の自由度の概念を利用する手法を検討した.検討した自由度を用いて,補助ビットを用いることで中間論理をコピーすることによって,MPMCT (Mixed Polarity Multiple-Control Toffoli) ゲートからなる量子回路を変形する手法を考案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
測定型量子回路の中で効率が良いといわれているlattice surgeryの方式の量子回路設計について,新しい知見を得られたため.また,検討した論理関数の自由度の概念を量子回路設計に用いる方法は,今までにない考え方であり,今後新たな設計手法の考案につながることが期待できるため.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までに考案した lattice surgery における lattice の回転操作を利用することで,レイアウト上における論理量子ビットの充填率を向上させる手法に関して,いくつかの例でその効果を確認はしているが,より多くのベンチマーク回路で性能をさらに詳細に解析する予定である.そして,その解析の結果をまとめて,論文誌に投稿することを計画している.また,提案したレイアウトが,どの程度 multi-target CNOT ゲートを有効に利用できるかについても詳細な検討を行い,新たな研究テーマを創出する計画である.その際に,必要があれば,ゲートの適用順序を変更するなどの処理を行ってより効率的に multi-target CNOT ゲートを利用する方法を検討する.もし,有効な設計手法が考案できれば,様々な例を作って評価を行い,研究をさらに展開する予定である. また,昨年度までに考案した,補助ビットを用いることで中間論理をコピーすることによって,論理関数の自由度を利用したMPMCT (Mixed Polarity Multiple-Control Toffoli) ゲートからなる量子回路を変形する手法を,具体的にどのように回路のコスト削減に利用するかについて検討を進める.そこで,有効な設計手法が考案できれば,ベンチマーク回路で性能評価を行いさらに研究を進展させることを考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた海外出張などがなくなったため,次年度に使用することとした.今後は,研究の取りまとめや対外発表のために使用する予定である.
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