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2018 年度 実施状況報告書

照明場と知覚の相関解析に基づく新たな照明デザイン

研究課題

研究課題/領域番号 18K19801
研究機関東京大学

研究代表者

本吉 勇  東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (60447034)

研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2020-03-31
キーワード視覚 / 照明 / 質感
研究実績の概要

500以上の高精度のHDR照明場(lightfield)のデータベースを用いて,現実世界における多様な照明場の統計量を解析するとともに,選抜された約30の照明場のもとで様々な表面特性(光沢,形状,細かな凹凸,透明度など)をもつ物体の画像(計2000以上)をシミュレートし,その画像統計量を解析した.続いて,得られた画像統計量が物体の表面特性(光沢,形状,細かな凹凸,透明度など)に応じて変化する量が照明場の種類によってどのように異なり,どのような照明統計量と相関するかを解析した.並行して,さまざまな照明場のもとでの物体の画像について,これらの物体特性の変化に応じて観察者の知覚(例えば光沢)がどのように変化するかを厳密な心理物理学的非対称マッチング法により計測した.そして,これらの知覚データが物体の画像統計量および照明統計量とどのような関係にあるかを分析した.その結果,物体の知覚される表面特性は,照明場の広範囲の空間周波数帯域におけるコントラストや歪度,およびいくつかの高次統計量と強く相関することがわかった.同時に,これらの統計量は,物体そのものの画像統計量とも相関することを確認した.また,これらの照明統計量を操作することにより,ある表面特性をもつ物体の質感の知覚がどのように変化するかを組織的に解析した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画にしたがい計測と分析を組織的に進め,少なくとも物体の質感については,照明場・物体画像・知覚データの関係を解明することができた.特に,今回の解析により,従来は知られていなかった照明統計量のなかの重要な成分を見出すことができた.

今後の研究の推進方策

今後は,今年度の研究で確立された研究のプラットフォームに立脚し,物体質感以外の多様な「見え」における照明構造の役割を明らかにすることをめざす.同時に,今年度の成果を積極的に対外発表することを始める.

次年度使用額が生じた理由

購入を検討していた実験装置が既存のもので代用可能であることが判明した.また,研究員などの謝金が予想していたよりも少額になった.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Bidirectional aftereffects in perceived contrast2018

    • 著者名/発表者名
      Wakana Hata, Isamu Motoyoshi
    • 雑誌名

      Journal of Vision

      巻: 18(9) ページ: 1-13

    • DOI

      10.1167/18.9.12

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Rembrandt van Rijnおよび工房作品における特異的な画像特徴量2019

    • 著者名/発表者名
      本吉勇
    • 学会等名
      日本視覚学会2019年冬季大会
  • [学会発表] Natural illumination and the style of western and eastern paintings2018

    • 著者名/発表者名
      Isamu Motoyoshi
    • 学会等名
      The skin of things : A symposium on perceiving and painting material properties
    • 国際学会
  • [学会発表] 双方向のコントラスト残効とコントラスト選択的チャンネル2018

    • 著者名/発表者名
      畠若菜,本吉勇
    • 学会等名
      日本視覚学会2018年夏季大会
  • [学会発表] 意思決定とクオリア: 即物的リアリティを支える視覚情報処理機構2018

    • 著者名/発表者名
      本吉勇
    • 学会等名
      日本神経回路学会オータムスクールASCONE2018「リアリティを生むメカニズム」
    • 招待講演
  • [学会発表] 光の生態学と視覚の仕組み2018

    • 著者名/発表者名
      本吉勇
    • 学会等名
      第29回照明学会東京支部照明フォーラム
    • 招待講演
  • [学会発表] 視覚系におけるテクスチャ情報の処理と利用2018

    • 著者名/発表者名
      本吉勇
    • 学会等名
      視覚科学フォーラム2018
    • 招待講演
  • [図書] 児童心理学の進歩 2019年版2019

    • 著者名/発表者名
      日本児童研究所
    • 総ページ数
      368
    • 出版者
      金子書房
    • ISBN
      9784760899593
  • [図書] 基礎心理学実験法ハンドブック2018

    • 著者名/発表者名
      日本基礎心理学会
    • 総ページ数
      608
    • 出版者
      朝倉書店
    • ISBN
      978-4-254-52023-1

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公開日: 2019-12-27  

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