研究課題/領域番号 |
18K19812
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
榎堀 優 名古屋大学, 情報学研究科, 助教 (60583309)
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研究分担者 |
米澤 朋子 関西大学, 総合情報学部, 教授 (90395161)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 歩行誘導 / 視覚障碍者支援 / 感触再現 / 足裏感触再現 / 白杖先端刺激提示 / 刺激提示 |
研究実績の概要 |
本研究は,仮想的に歩行誘導ブロックや通路壁があるように利用者に体感させるウェアラブル触覚VRシステムによる歩行誘導の実現を目的としている. 研究開発項目は以下の3点である.1: 歩行誘導ブロックや誘導路壁などの感触再現手法の探索,2: 日常で必要となる歩行誘導・支援方法の探索,3: 視覚障碍者と健常者間の人体感覚差異と,それを反映した適切な感触再現手法の探索 歩行誘導ブロックや誘導路壁などの感触再現手法は,白杖にて,感触提示タイミングの操作による感触再現力の向上を図った.当初は,接触音提示などのマルチモーダル化を計画したが,聴覚リソースの利用が不適切との意見の基,感触提示タイミング制御による感触再現力の向上に注力し,振動激発点の直線性の向上等による総合的な感触再現力の向上を図った.足裏感触再現では,配列配置振動子によるファントムセンセーションは,靴底面を介した振動混和などから,感触再現に不適切な可能性が高まり,ピボット点と外縁点の順次振動による直線形状提示へ計画を変更した.それに共ない,まずは,当該手法と各人の感じ方の関係について,14名からデータを収集し,2018年度末段階で分析中である. 日常で必要となる歩行誘導・支援方法の探索は,白杖にて,左右曲線路における歩行について,8名の被験者よりデータを収集し,逸脱や混乱などの発生原因を明らかにしつつ,それらの発生しない誘導路パターンについて追及した. 視覚障碍者と健常者間の人体感覚差異とそれを反映した適切な感触再現手法の探索については,当初計画通り,デバイスの成熟を優先したため実施していない.現状では,デバイスの成熟度が,被験者実験を実施するには足りない物と判断した.本件は,デバイスの構造改善及び駆動システムの簡略化が進み,持ち込みによる実験が可能となった段階で追って判断する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は,現在,やや実施が遅れている状況にある.当初計画では,2018年度において,デバイスの成熟化を実施し,視覚障碍者を対象とした簡易実験まで実施予定であった.しかしながら,概要にも示したとおり,成熟は進んでいるものの,実験が実施できる状況まで至っていない. これは,白杖先端刺激提示,足裏感触再現の両手法において,当初予定していた手法(音などによる刺激のマルチモーダル化,および,配列配置振動子とファントムセンセーションによる点や直線形状の提示)が,実利用者のアドバイスやその後の実験を通じて,目標のために不適切と判断され,手法を再構築していたためである.詳細は,概要と重複するため割愛する. また,研究分担者の米澤が産後休暇および育児休暇を取得し,年度初めから8月頭まで完全に研究業務を停止し,その後に緩やかに復帰したため,足裏感触再現デバイス関連の研究について,一部が2019年度に持ち越しとなっている.本件は,主要因では無いが,上記のデバイス成熟の遅れや,成熟後を予定していた視覚障碍者を対象とした簡易実験の遅れの一因とはなっている. 上記事情により,研究期間の延長を含め,2019年度の初動状況を見極めつつ,十分な研究実施に向けた調整を進める.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は,まず,2018年度の研究により発生したデバイス成熟の方向性変更に伴うシステム実装の充実を図る.白杖,足裏感触再現,共に2018年度にて健常者からではあるが10名程度のデータを収集済みである.現在は,2018年度末時点では,それらについて分析を進めており,2019年度の前期にて,分析結果を反映したシステムを構築する.その後,二つのデバイスの簡易結合テストを実施し,年度後半より視覚障碍者を対象とした簡易実験を開始する予定である.人数としては各10名程度からを想定している. なお,「現在までの進捗状況」にも記載したとおりの理由により,本研究は,研究期間の延長を含め,2019年度の初動状況を見極めつつ,十分な研究実施に向けた調整を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度の予算残について,研究分担者の米澤が産後休暇および育児休暇を取得し,年度初めから8月頭まで完全に研究業務を停止していた.緩やかに復帰したため,実質数か月間で1年分に予定したいくつかの研究内容は一部2019年度に持ち越しとなった. 例として,アルバイト依頼予定作業,2018年度内に遂行できた実験結果を予備的なものとしたうえでの本実験実施部分のためのマシンや実装費用およびそれにかかわるアルバイトまたは業務委託作業,国際会議論文の準備および発表などがある.物品費用,人件費(謝金),発行代金,旅費等の執行を2019年に実施する研究項目に加えて行う予定である.
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