研究実績の概要 |
今年度はこれまでに開発した参照点1点のみを用いた複合鏡のカメラキャリブレーションについて,従来手法との定量的に比較に基づいてその優位性を検証するとともに,鏡映変換という幾何的な制約に加えて反射率や吸収,偏光などに基づいたカメラキャリブレーションと3次元形状計測に取り組んだ. まず参照点1点のみを用いた複合鏡のカメラキャリブレーションについては,参照点5点を用いた従来手法Ying et al. 2013と比較して,より少ない最小限(1点)の入力を用いながらも,提案手法によってより高精度なキャリブレーションが実現できることを実証することができた.この成果は論文誌IEEE TPAMIに掲載される予定である. 次に反射率・吸収・偏光などを組み合わせたカメラキャリブレーションと3次元形状計測については,水のような媒質による光の吸収がもつ波長依存性を活用したカメラと光源位置の推定および3次元形状計測の実現,また反射による偏光状態の変化を明示的にモデル化することによるより精緻な3次元形状の計測の実現などに取り組んだ.これらの成果は国際会議CVPR, ICCPおよび論文誌IEEE TPAMIにて発表予定である. このように本年度は鏡映像がもつ幾何学的な制約のみを用いた複合鏡のカメラキャリブレーションと3次元形状計測からスタートした研究を,偏光などより詳細な光学的情報を活用したカメラキャリブレーションおよび3次元形状計測へと発展させることができた.
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