本研究では、書字方略の個人差とその背景を調査した。 書字板裏面への書字課題では、鏡文字または正字のどちらかを書く、2つのタイプがあることを発見した。また、視覚フィードバックの視点を操作することで方略が変更される可能性を示した。さらに、新しく学習した文字も既存の書字方略に従って書かれ、文字表象と表出過程の独立性が示唆された。また、他人に見せることを意識することの方略への影響を確認した。さらに、書字方略には認知的・行動的特徴が影響する可能性を見出した。 これらより、書字方略の選択には、身体表象と空間表象の統合過程のメカニズムの一端を捉えており、これには認知発達や性格形成が影響する可能性が示唆された。
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