研究課題/領域番号 |
18K19826
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
浦川 智和 東京理科大学, 理学部第一部応用物理学科, 助教 (80586644)
|
研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
|
キーワード | 視覚的意識 / 視覚ミスマッチ反応 / 両眼視野闘争 / 脳波 / 脳磁図 |
研究実績の概要 |
我々は日常生活において、様々なモノを見ている。これら視覚的に見ているものは、果たして外界から受け取った視覚情報の全てなのだろうか?たとえ見ているモノが何なのか見えない条件下(無意識下)であっても、この見えないモノに対する脳内情報処理は進行し、この処理された視覚情報の一部が意識上へ昇っていく(視覚的意識へアクセスする)ことでモノが見えるようになる。本研究課題では、この視覚的意識へのアクセスに関わる脳情報処理に従来着目されて来なかった“視覚ミスマッチ処理”の駆動が関与しているとする仮説を立て、このことを心理実験および脳波(EEG)・脳磁図(MEG)といった脳活動計測法を用いて実験的に検討する。 本課題計画の第1年度目にあたる本年度は、無意識下で呈示される画像により視覚ミスマッチ処理を駆動させることが可能な実験パラダイムを作成した。具体的には、両眼視野闘争と呼ばれる現象を生じさせる条件下においてオッドボール課題を適用できる刺激呈示法を構築した。その後、予備的実験を実施しており、本課題で作成した上記刺激呈示法が視覚ミスマッチ処理を反映する脳活動(視覚ミスマッチ陰性電位、vMMN)を誘発させることを脳波計測により確認すると共に、無意識下でvMMNを誘発させる画像は、意識上で知覚されやすくなることを心理実験から見出している。本年度に得られた心理実験の結果の一部は、既に国内ワークショップで発表しており、現在は来年度以降に予定しているMEG実験(本実験)に向けた準備を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度までに、実験パラダイムの作成、予備的心理・脳波実験および脳磁図の計測環境の構築は概ね完了している。しかしながら、これら予備的実験の完了までに、当初予想定していた以上の時間を要した。この為、本年度実施する予定だったMEG実験まで未だ至っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は、現在までの進捗状況にあるように、実験パラダイムの作成および脳波を用いた予備的実験は完了した。しかしながら、当初の予定より実験パラダイムの作成および予備的実験に時間を要した為、現段階においては未だ本実験の実施までは至っていない。本年度までに本実験における実験環境の構築は概ね完了しているため、引き続き来年度も交付申請書に記載の課題計画に沿って本課題を実施していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた程にMEGを用いた本実験が進展しなかったため、それに伴う実験機器購入および被験者への謝金支出が現段階ではまだ生じていない。 次年度は本年度の研究成果を踏まえて本実験が進展していく見込みであることから、その際に必要になってくる実験機器等の購入に当てる。
|