視点を連続に動かしても錯視が起き続ける不可能立体の錯視要因の発見・整理をし、その知見を応用して道路カーブの誤認現象の一側面を明らかにした。発見した錯視要因は二つある。その第1は、錯視の手掛かりとなる幾何的性質が視点に依存しない立体固有の性質であることである。その第2は、絵と立体を混在させることによって、絵の部分も立体に見えてしまう視覚効果である。前者からは「軟体立体」「変身タイリング」などの錯視を創作でき、後者からは高さ反転立体などの錯視を創作できた。また、カーブの曲率を誤認する要因として、道路傾斜の変化に気付かない場合があることも分かった。これらを、不可能立体錯視の樹形図の形に体系化した。
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