研究課題/領域番号 |
18K19833
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研究機関 | 千葉商科大学 |
研究代表者 |
寺野 隆雄 千葉商科大学, 基盤教育機構, 教授 (20227523)
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研究分担者 |
倉橋 節也 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (40431663)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | エージェントベースモデリング / 計算考古学 / 計算歴史学 / 大規模計算 / 最適化 / シミュレーション / 人工知能 |
研究実績の概要 |
歴史学・考古学の研究を進める際には、数少ない史料・資料をもとに、さまざまな考察を行い、仮説を設定する作業が必要となる。本研究では、これに、エージェントモデルに基づくシミュレーションを中心とした計算機主導型の方法論を導入する。そして、情報科学者と人文科学者が協調して研究を進められるような新たな学術領域としての計算歴史学・考古学の構築をはかる。本提案では、このための方法論とツールを提供することを目的とする。 研究の第1年度としては、次の3点について研究を実施した: (1)九州地区の縄文時代から弥生時代への移行期において、人種の交代がいかに行われたかに関する仮説を生成する方法論を構築し、エージェントシミュレーションによって仮説の反証可能性について分析した。この結果をヨーロッパ考古学会において発表した。(2)提案する方法論の拡大をめざして、モデルに基づく政策決定手法の提案を行い、これを筑波大学で開催した知識システム科学に関する国際会議において発表した。(3)エージェントシミュレーション手法の改善を目的に、新しい実数型進化計算のアルゴリズムを提案し、これを、宮崎で実施した、IEEE SMC 国際会議で発表した。 以上により、少数の歴史的・考古的情報をもとに、エージェントモデルのパラメタを変化させ、計算機シミュレーションによって、複数かつ多様な仮説を生成して、その妥当性を既存情報との照合によって確認するとともに、非線形な複雑系のパラメタを進化計算アルゴリズムによって最適化することが可能となった。さらに、本テーマに関連する複数の研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
業績リストに示した通り、第1年度にもかかわらず、縄文時代から弥生時代の考古学的仮説に関する研究の進展、政策意思決定領域への本手法の拡大、ならびに、情報科学的な側面からの新しいアルゴリズムの開発の3つの成果を挙げることができたことから、当初の計画以上の進展が見られたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画にそって、考古学・歴史学の分野での仮説生成妥当性検討を可能とする新たな適用例を研究するとともに、情報科学的な観点から、進化的計算手法の拡張をはかり、本提案手法を他の関連分野へ適用する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者寺野の所属先変更に伴う研究環境の変化により、前年度導入予定のPCの購入を見合わせ、新年度に導入することとしたため、物品費の使用計画を変更したことによる。
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