氷河や氷床は、巨大な淡水ストックとしての役割を有し、地球表面のアルベドを変化させるため重要である。このため、氷河や氷床の縮小は、海水準の上昇や 水資源の枯渇、気候温 暖化の加速など人間社会へ重大な影響を及ぼすため、 その原因解明や対策立案は急務である。 本研究では硝酸の三酸素同位体組成という新しい環境トレーサーを導入 し、氷河生態系における窒素循環速度を定量する。このため、天山山脈ウルムチ No.1氷河(中国 新疆ウイグル自治区)を主たる研究地点と考えていた。 研究期間を延長して調査実施の可能性を探ったが、2018年以降、中国国内の都合で調査が進められない他、新型コロナウィルス感染拡大の影響で国外氷河での研究実施は難しいと判断された。 このため、2006年及び2009年に掘削された涵養域及び消耗域の浅層アイスコアの分析から、氷河内部での微生物窒素循環の存在を確認し、その窒素循環速度の見積もりに取りくんだ。
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