研究課題
挑戦的研究(萌芽)
2009年9月に名古屋で測定された大気エアロゾルの乾燥粒径別の吸湿成長度のデータを利用し、人が呼吸によりエアロゾル粒子を体内に取り込んだ場合の呼吸器内沈着を解析した。これにより、当該期間におけるエアロゾル粒子の呼吸器内沈着の特徴を、エアロゾルの乾燥粒径および吸湿性の分布と結びつけた形で得た。また、当該期間に対してエアロゾルの外部混合状態の考慮が沈着の見積もりに与える影響を評価した。時間発展の取り扱いが沈着の計算に及ぼす影響や、解析結果の表現方法についての検討も進めた。
大気エアロゾル科学
微小粒子状物質(PM2.5)の環境基準として用いられているように、大気微粒子の質量濃度はその健康影響の重要な尺度であるが、質量濃度のみで健康影響を十分に説明できるとは考えにくい。本研究では、大気微粒子の乾燥粒径と吸湿性の分布が人の呼吸器内における微粒子の挙動に関係することに着目し、これらの大気観測データに基づいて呼吸器内の沈着の特徴付けを行った。今後、大気微粒子の性状と呼吸器内沈着の関係について研究が発展することで、大気微粒子の健康影響のより正確な理解が得られることが期待される。