研究課題/領域番号 |
18K19873
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
幡本 将史 長岡技術科学大学, 産学融合トップランナー養成センター, 特任准教授 (20524185)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | メタン / アーキア / 嫌気性微生物 / 脱窒 / 導電性物質 |
研究実績の概要 |
嫌気条件下での物質分解には共生関係が必要な増殖が遅い微生物が関与している。本研究では微生物増殖担体として導電性物質を用いて、物質の分解に細胞外電子伝達などの共生関係が必要な嫌気性微生物の増殖を促す方法を開発し、さらに純粋培養への挑戦を目標に実験を実施した。微生物増殖担体には、活性炭やマグネタイト、鉱物の微粒子などの導電性物質をそのまま用いる方法に加え、PVAゲルに導電性物質を添加した担体を作成した。PVAゲルに対する添加物の量を変更して種々の担体を作成した後、担体添加の効果を検証するため、モデル系として嫌気性汚泥に各種担体を添加し基質としてプロピオン酸と酢酸、グルコースを別々に用い、担体添加量を最適化した。その結果、1バッチあたり10 gの担体添加で、比較対照とした導電性のないPVAゲルのみを用いた実験と比較して数%~10%程度のメタン生成量の増加とメタン転換速度の増加が確認できた。また、担体のSEM観察と微生物量の測定から、導電性物質を添加したPVAゲルにはより多くの微生物が保持され付着していることが確認できた。 分離培養を目指す嫌気性メタン酸化脱窒微生物(DAMOアーキア)については既存のバイアル瓶を用いた集積培養に加え分離膜を用いたリアクター方式の培養を実施し、活性の高い微生物群集を獲得した。また高感度微生物検出法であるin situ HCR法を適用し、DAMOアーキアの検出系を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゲルの作成方法や添加物の量の検討に時間がかかったものの、導電性物質を添加する事で、想定通り微生物の活性を高めることが確認できた。当初予定していた微生物解析は汚泥の採取までとなったが、担体表面および断面のSEM顕微鏡観察を実施し、微生物の担体に対する付着状況を追加的に確認することができた。一部当初計画より遅れが生じているが、概ね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
担体に付着した微生物解析を実施し、細胞外電子伝達により物質の分解を行う嫌気性微生物の増殖を確認する。微生物増殖担体はバイアル瓶による培養に加え電位制御培養にも適用し、微生物の培養状況を比較検討しながら培養を進める。集積培養と同時に、嫌気性微生物をセルソーターを適用するための前段階として、微生物増殖担体からの微生物の脱着と微生物群集の再構成実験を行い、マイクロ流路装置もしくはセルソーターで分離した微生物の純粋培養の実現を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在までの進捗に示した通り、当初予定していた微生物解析の一部を次年度以降に行うこととし、その解析に必要な消耗品費および外注費が繰り越されたために次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、計画の内容通り微生物解析のための消耗品費および外注費として今年度使用する予定である。
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