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2018 年度 実施状況報告書

AOPによる環境毒性学発展のための基盤形成研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K19884
研究機関有明工業高等専門学校

研究代表者

冨永 伸明  有明工業高等専門学校, 創造工学科, 教授 (30227631)

研究分担者 平野 将司  熊本高等専門学校, 生物化学システム工学科, 准教授 (20554471)
石橋 弘志  愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (90403857)
研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2020-03-31
キーワードAOP / 有機フッ素化合物 / PPAR / メダカ
研究実績の概要

本研究課題では,環境毒性学にAdverse Outcome Pathway(AOP)の概念によるリスク評価・管理システムを導入するためのモデル生物による環境毒性AOPの基盤構築を行うことを目的とした.本年度は,以下の研究成果を得た.
環境化学物質の有害影響と初期応答のキーイベントを直接つなぐ経路を整備・構築するため,PPARsに注目し,モデル化合物の選別を分子シミレーションソフトによるインシリコ解析にて行った.ヒトPPARaの結晶構造を基にメダカPPARaの立体構造を予測した.得られたモデルはRMSD値が0.78 Aと算出され,良好なモデルが構築できた.そこで,PPARa作動性の環境化学物質として有機フッ素化合物(PFCs)に着目し,PFCs17種についてドッキングシミュレーションを実施し,相互作用および親和性について検討したところ,炭素鎖長が長いPFODA,PFOSはメダカPPARaに対して既知の哺乳動物PPARαへの結合と同様に安定した強い相互作用を示し,炭素鎖長が短いPFBA,PFBSは弱いことが分かった.これら結合には,ヒトPPARaの重要残基であるTyr314,His440に対応するHis327,His453がメダカPPARaでは関与していることを見出した.これらことから,メダカにおける結果は哺乳動物における影響評価に外挿できる可能性が高いことが考えられた.AOPモデル構築における最初のターゲットとなる分子レベルのキーイベントについての情報が得られた.また,結合性の高いフルアゴニストおよびパーシャルアゴニストの選定を行った.さらに,PPARsレポーターアッセイを立ち上げ,アゴニスト活性の比較をはじめた.メダカ卵への取り込み暴露試験については,発生影響評価およびトランスクリプトーム解析を開始した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は,メダカをモデル生物とする優位性を確認するうえで最も重要としていたインシリコ解析が計画通りに行え,メダカと哺乳類のPPARαのPFCsに対する相互作用に共通性が高いことも確認できた.また,暴露実験を行うための物質の選定も予定通りに進行した.
In vitro系であるレセプターアッセイおよび表現型による発生影響試験,トランスクリプトーム解析については準備が整い,徐々に開始した状況であることから,おおむね順調に進展していると判断した.

今後の研究の推進方策

本研究課題は,環境毒性学にAdverse Outcome Pathways(AOP)の概念によるリスク評価・管理システムを導入するためのモデル生物による環境毒性AOPの基盤構築を行うことを目的とする.研究計画が順調に進捗していることから,今後は,PFCsをリガンドとしてレセプターアッセイを進め,インシリコ解析との相関性を取っていく.また,高電界パルス法によるPFCsのメダカへの導入を行い発生影響およびトランスクリプトーム解析を進め,表現型に現れる影響とシグナル伝達経路の関連性を見出すべくパスウエイ解析等を利用して,各キーイベントのつながりを明らかにする.また,一般的な毒性とPFCs特異的な影響を区別することを試み,環境AOPの構築について検討する.

次年度使用額が生じた理由

計画に従って研究を行ってきたが,トランスクリプトーム解析の確認作業およびin vitroレセプターアッセイの本格的な開始に少し遅れが生じたため,必要試薬等の発注が遅れた.次年度に繰り越し,早々に執行する予定である.

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公開日: 2019-12-27  

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