研究課題/領域番号 |
18K19889
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐藤 悠介 北海道大学, 薬学研究院, 助教 (10735624)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 脂質ナノ粒子 / 粒径制御 / がん治療 |
研究実績の概要 |
水溶性高分子であるポリエチレングリコールを有する脂質誘導体(PEG化脂質)を主成分として含む脂質ナノ粒子をマイクロ流路を用いてアルコール希釈法の原理により製造した。PEG化脂質と脂溶性コア成分であるトリオレインとの配合比を調節することで粒子径を約10 nm~50 nmの範囲で連続的に変化させることに成功した。グリオーマ同所移植モデルマウスの作成手法を確立し、本モデルマウスに蛍光標識した脂質ナノ粒子を静脈内投与し、24時間後における脳切片の顕微鏡観察を行った結果、腫瘍組織選択的に脂質ナノ粒子が集積していることを確認した。また、パクリタキセルを細胞内の還元条件下で切断可能なジスルフィド結合を介して炭化水素鎖を連結した誘導体を合成した。本パクリタキセル誘導体を搭載した脂質ナノ粒子をマウスに静脈内投与した際に、誘導体が脂質ナノ粒子からリークせずに長時間血中を滞留可能であることを明らかにした。 直径30 nm以下の小さな粒子径と高いsiRNA導入活性を両立するための新たなpH感受性カチオン性脂質の開発を行った。脂質の脂溶性足場を複数比較した結果、長鎖の炭化水素鎖を有する脂質が従来の足場構造よりもsiRNA挿入活性に優れることを見出した。また、粒子径の小型化に伴う表面積の増大に対応するため、卵黄由来スフィンゴミエリンをヘルパー脂質として用いることで粒子径の更なる小型化(約23 nm)およびsiRNA導入活性の向上が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パクリタキセル送達に関する検討では、製剤の粒径制御、搭載薬物の合成および脂質ナノ粒子への搭載、および優れた血中滞留性を確認している。現在、担癌モデルにおける抗腫瘍効果の検討を行っている段階である。 siRNA送達に関する検討では、培養細胞における遺伝子ノックダウンを誘導可能な極小LNPの開発に成功した。極小粒径とsiRNA送達を両立した報告はこれまでになく、本成果は今後のin vivoにおける製剤開発に向けて有望な結果であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
パクリタキセル送達に関する検討では、現在行っている担癌(皮下移植)モデルにおける結果とin vitro殺細胞効果の結果を基に同所移植モデルにおける腫瘍への薬物送達および抗腫瘍効果の検討を進める予定である。 siRNA送達に関する検討では、in vitroで見出したLNPの製剤処方を基盤としてin vivoにおける血中安定性を指標に製剤の検討を行う。その後、担癌モデルにおけるsiRNA送達の検証および抗腫瘍効果の検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
一般消耗品を一部別財源で確保したため、僅かに残額が生じた。 次年度は本残額を実験動物等の購入費として使用し、研究データの充実を図る。
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