研究課題
挑戦的研究(萌芽)
小さな脂質ナノ粒子は優れた組織浸透性と効率的な核酸送達が期待されることから、その開発は重要である。一方で、粒子径の減少に伴う粒子の物理科学的安定性の低下や薬物送達活性の減少がその応用可能性を大きく制限している。本研究では、活性低下メカニズムに基づいて、pH感受性カチオン性脂質の疎水性足場構造による影響に着目し、極小粒子径と活性を両立するsiRNA搭載脂質ナノ粒子の開発とメカニズム解析を行った。
薬物送達学
極小粒子径と高いsiRNA送達効率を両立可能な脂質ナノ粒子製剤を見出し、その処方最適化とメカニズム解明に成功した。pH感受性カチオン性脂質の足場鎖長が中性リン脂質との混和性に影響を与え、高い遺伝子ノックダウン活性に寄与していることが明らかとなった。本知見は今後の核酸搭載脂質ナノ粒子開発における合理的な脂質設計および製剤処方検討の指針になると期待される。また、組織浸透性が課題となっているナノ医薬によるがん治療の実現や核酸ナノ粒子製剤の侵襲性の低い投与経路への応用に期待される。