ヒト胎盤チップを用いて、合胞体性栄養膜と細胞性栄養膜、さらに間質を挟んで胎児血管が存在するヒト胎盤に特徴的な3次元層構造を模擬した。3本の平行なゲル流路とそれらに隣接するメディア流路に、フィブリンゲルや、血管内皮細胞および線維芽細胞を混合したフィブリンゲル、胎盤細胞の細胞懸濁液を注入することで、ヒト胎盤の形成過程の観察を可能にした。また、培養環境制御下で栄養膜や微小血管網の物質透過性を計測することで、母体と胎児間の物質交換の定量評価が可能になった。さらに、低酸素・流れ負荷時の血管内皮細胞の単層の動態を観察する実験系を構築し、それらの刺激が形態変化を促進することを明らかにした。
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