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2018 年度 実施状況報告書

卵巣内に存在する卵子の品質診断を実現するドップラー光干渉断層撮影システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K19898
研究機関山形大学

研究代表者

阿部 宏之  山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (10375199)

研究分担者 渡部 裕輝  山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (00333328)
研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2020-03-31
キーワード光干渉断層撮影 / 卵巣 / 卵母細胞 / 発生 / 生殖医療
研究実績の概要

本研究では、光干渉断層画像化法(オプティカル・コヒーレント・トモグラフィ:OCT)を基盤とするドップラーOCT技術を確立し、卵巣組織内に存在する卵胞および卵子を無侵襲的に画像撮影できる高感度計測OCTシステムの開発を目的としている。
2018年度は、卵巣組織に存在する卵胞および卵子の画像化に特化したドップラーOCTシステムを開発し、その有用性を検証した。従来のOCTシステムに高速ラインカメラとGPU(Graphic Processing Unit)を導入した結果、画像データの取得が格段に向上したOCTシステムを確立することができた。この新たなOCTシステムを用いて、マウス卵巣に存在する卵胞のイメージングを行った。その結果、卵巣の一部で光散乱を示す高輝度信号が検出された。散乱光のドップラー効果を利用して解析した結果、この高輝度部分は直径50 um程度の卵胞様構造であることがわかった。マウス卵巣の組織学的観察を行った結果、ドップラーOCTでイメージングできた構造は卵巣組織表面から2~3 mmの領域に存在する前胞状卵胞であることが明らかになった。さらに詳細な解析を行った結果、高輝度信号は卵胞内に存在する卵母細胞である可能性が示された。また次年度に向けての基礎的研究として、マウス卵巣と比べて光透過性が低いウシ卵巣における卵胞の検出を試みた。その結果、卵巣表層に卵子由来とみられる高輝度シグナルが検出された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

マウスおよびウシの卵巣内に存在する卵胞を検出できるドップラーOCT技術を確立することができた。このドップラーOCT技術は、従来のOCTシステムでは検出できなかった卵母細胞の高精度画像化を可能とする技術として期待できる。本研究は、当初の計画通り順調に進んでいると考える。

今後の研究の推進方策

マウスおよびウシの卵巣を材料に、ドップラーOCTにより検出できる卵子細胞質の光散乱の検出と定量化を試みる。ドップラーOCTにより観察した卵子の品質と光散乱現象の関係を調べるとともに、若齢および加齢マウスの卵巣において卵胞と卵子の局在を組織学的に解析し、OCTによる卵巣内卵子品質評価の有効性を検証する。

次年度使用額が生じた理由

マウス等の実験動物の購入費および飼料購入費、OCT計測に必要なレンズ等の部材が予定より少なかったため、次年度への繰越が生じた。2019年度は、マウスを用いた実験に加え、ウシ卵巣を用いた実験が増える見込みである。そのため、マウス等の実験動物の購入費に加え、ウシ卵巣の採材費用、組織学的解析を行うための試薬等、OCT計測に必要なレンズおよびアンプ等の部材の購入費用の増加が予想される。繰り越し分はこれら物品の購入に充てる。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2018 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Tissue imaging using full field optical coherence microscopy with short multimode fiber probe2018

    • 著者名/発表者名
      Sato M., Eto K., Goto T., Kurotani R., Abe H., Nishidate I.
    • 雑誌名

      Proc. of SPIE

      巻: 1059109 ページ: 1-5

    • 査読あり
  • [学会発表] 培養液は胚の品質にどのような影響を及ほしているのか - 動物実験からの考察 -2018

    • 著者名/発表者名
      阿部宏之
    • 学会等名
      第59回日本卵子学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 初期胚における細胞接着は胚の形態的品質とハッチングに影響する2018

    • 著者名/発表者名
      伊藤莉菜、小浜怜、坂原聖士、高倉啓、黒谷玲子、阿部宏之
    • 学会等名
      第59回日本卵子学会
  • [学会発表] マウス胚における微小管ネットワークの形成とミトコンドリア呼吸機能の発達2018

    • 著者名/発表者名
      佐藤翼、渡部佑、坂原聖士、高倉啓、黒谷玲子、阿部宏之
    • 学会等名
      第59回日本卵子学会
  • [学会発表] 直径125μm長さ7.4mm光プローブによるin vivoラット脳の光波断層画像測定2018

    • 著者名/発表者名
      江藤魁、増田純平、黒谷玲子、阿部宏之、西舘泉、佐藤学
    • 学会等名
      第19回山形ニューロサイエンス・医工学研究会
  • [学会発表] 高精度ミトコンドリアDNAコピー数定量システムの開発2018

    • 著者名/発表者名
      渡邉光、坂原聖士、高倉啓、黒谷玲子、阿部宏之
    • 学会等名
      日本動物学会平成30年度東北支部大会
  • [学会発表] マウス胚における小胞体ストレスの誘導と胚発生に及ぼす影響2018

    • 著者名/発表者名
      加藤貴仁、坂原聖士、高倉啓、黒谷玲子、阿部宏之
    • 学会等名
      日本動物学会平成30年度東北支部大会
  • [学会発表] ウシ胚における接着結合および密着結合は胚のバッチングに影響する2018

    • 著者名/発表者名
      伊東莉菜、高倉啓、坂原聖士、黒谷玲子、阿部宏之
    • 学会等名
      日本動物学会平成30年度東北支部大会
  • [学会発表] ウシ胚においてアポトーシスおよび酸化ストレスは胚の品質を低下させる2018

    • 著者名/発表者名
      鶴谷昭洋、高倉啓、坂原聖士、黒谷玲子、阿部宏之
    • 学会等名
      日本動物学会平成30年度東北支部大会
  • [学会発表] Short multimode fiber image probe for full field optical coherence microscopy2018

    • 著者名/発表者名
      Sato M., Eto K., Masuta J., Kurotani R., Abe H., Nishidate I.
    • 学会等名
      Second World Congress on Microscopy (WCM 2018)
    • 国際学会
  • [学会発表] ウシ胚における密着結合および接着結合の形成と胚の品質とハッチングに及ぼす影響2018

    • 著者名/発表者名
      伊東莉菜、坂原聖士、高倉啓、黒谷玲子、阿部宏之
    • 学会等名
      日本動物学会第89回大会
  • [学会発表] マウス胚における微小管ネットワークの構築とミトコンドリア呼吸機能の発達2018

    • 著者名/発表者名
      佐藤翼、坂原聖士、高倉啓、黒谷玲子、阿部宏之
    • 学会等名
      日本動物学会第89回大会
  • [学会発表] 高精度ミトコンドリアDNAコピー数定量システムの開発と有用性の検討2018

    • 著者名/発表者名
      渡邉光、坂原聖士、高倉啓、黒谷玲子、阿部宏之
    • 学会等名
      第56回東北生殖医学会学術講演会
  • [学会発表] アポトーシスと酸化ストレスはウシ胚品質低下の原因となる2018

    • 著者名/発表者名
      鶴谷昭洋、高倉啓、坂原聖士、黒谷玲子、阿部宏之
    • 学会等名
      第56回東北生殖医学会学術講演会
  • [備考] 山形大学理工学バイオ化学工学科「研究科 阿部研究室」

    • URL

      http://abe-labo.yz.yamagata-u.ac.jp/index.html

  • [備考] 山形大学研究者情報

    • URL

      http://yudb.kj.yamagata-u.ac.jp/html/100000176_ja.html

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公開日: 2019-12-27  

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