研究課題
放射線治療における治療計画立案作業では、人体モデルの病巣部周辺に付与される線量分布を短時間で算出する必要がある。医療現場では、高精度な線量計算が可能で、かつ、2次中性子等の副次的影響も評価可能なフル・モンテカルロ法(FMC法)による線量計算に基づく治療計画立案が求められている。しかし現状の技術では、FMC法は通常の100並列程度の並列計算機を組み合わせても計算に長時間を要するため、医療現場に実用化できていない。これを踏まえ本研究は、人体モデルに対してFMC法による高精度線量計算を1分程度で完了する超高速計算技術の開発を目指す。令和2年度までに治療計画システム:ツクバプランで作成した人体頭部の計算モデルを四面体法に変換して計算性能の特性評価を実施した。この結果から、四面体法を採用することで従来のボクセル法に対して50%程度計算時間を短縮できる可能性を見出した。また、この四面体法を使ってモンテカルロ計算を実施できるように、ベースとなるモンテカルロ計算コード:PHITSの改良、高度化も実施した。一方、明らかとなった課題としては、四面体法で人体のような複雑な計算モデルを定義する場合、現状のツクバプランの技術では複雑な曲面部分で空間定義の材質未定義領域、もしくは、材質重複領域が生じてしまう。今後、複雑形状領域に対しても自動的に適切な定義ができる技術を開発することで、四面体法による治療計画が実現できると期待される。Manyコアプロセッサでの超並列計算では、筑波大学の超並列計算環境であるOakForest-PACS(OFP)に対して最新のPHITSをインストールして並列化し、計算速度の評価を行った。令和2年度には治療計画システムの検証、性能評価に関して査読付き論文への投稿も行いアクセプトされた。また、BNCT関連の治療計画に関するレビュー記事も複数投稿した。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Applied Radiation and Isotopes
巻: 166 ページ: 109222~109222
10.1016/j.apradiso.2020.109222
巻: 163 ページ: 109208~109208
10.1016/j.apradiso.2020.109208
巻: 165 ページ: 109246~109246
10.1016/j.apradiso.2020.109246